[新製品・サービス]
NEC、自治体向け住民情報システムを強化、総務省の標準仕様に準拠
2020年12月28日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)
NECは2020年12月28日、自治体に向けて、住民情報システムの製品開発を強化すると発表した。各業務主管府省が策定する標準仕様や今後の改定に準拠した住民情報システムを開発し、2022年度から順次提供する。販売目標は、住民情報システム関連製品で2025年度までに400団体。
NECは、大規模自治体向けの住民情報システム「COKAS-i」と、中小規模自治体向けの住民情報システム「COKAS-R/ADII」を、ともに強化する。2020年9月に総務省が第1.0版を公開し今後改定予定の「住民記録システム標準仕様書」に準拠させる。これにより、中小規模自治体から政令指定都市まで、標準に準拠したシステムへと移行できる。
従来、自治体の住民情報システムは、各自治体で独自に構築し、維持・管理、制度改正対応なども個別に対応していた。このため、財政的・人的な負担が大きな課題となっている。帳票の様式も各自治体で異なることから、これらを作成・利用する住民・企業に対しても大きな負担が生じている。こうした経緯から、行政手続きのデジタル化に向けて住民情報システムの標準化・共通化が重要となっている。
なお、住民記録システム以外の業務についても、標準仕様に準拠する。税務システム、介護保険システム、障害者福祉システムなど、各主管府省から公開予定の標準仕様についても、「COKAS-i」、「COKAS-R/ADII」をはじめとする地方公共団体向け製品群「GPRIME」でカバーする。
転出情報のQRコード化など周辺システムも開発
住民情報システムと連携する製品も強化する。
例えば、行政窓口向けのシステム「NECスマート行政窓口ソリューション」では、転出証明書情報を自治体間でデジタル情報のまま連携させる機能を追加する(図1)。引っ越しの際に、紙の書類を提出して処理せずに済む。転出証明書に印字するQRコードを使って転出情報を自治体間でやりとりできるようにする。これにより、職員の作業時間と住民の待ち時間を最大で5割短縮できる。さらに、住民自身がスマートフォンなどを活用して簡単にデジタルの異動届を作成できる。
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住民情報システムの標準化・共通化によって、良質な行政データを蓄積できるようになる。こうして蓄積したデータを活用したサービスも新たに開発する。例えば、過去データから将来の問題発生を予見して問題が起きる前に対応する予測・予防型サービスや、個人情報を活用したアウトリーチ型サービス、データに基づく精度の高い政策立案や評価、などがある。
NECはこれまで、自治体との実証実験やアイデアソン、総務省の調査研究事業などに取り組んできた。ここで培ったデータの匿名加工や可視化、分析といった技術と実績を利用し、データ駆動型の行政を実現するシステムサービスを提供するとしている。