生化学工業は、事業環境の変化に迅速に対応するため、全社規模のデータ活用基盤を構築した。Oracle CloudのDatabase Cloud Service、BIツール「Qlik Sense」、社内の業務システムからデータ抽出するETLツール「DataSpider Servista」を組み合わせた。国内2カ所にある工場でのデータ可視化に適用した。2019年4月から順次稼働を開始している。ソフトウェアを提供したアシストとSIベンダーのインテックが2021年2月3日に発表した。
生化学工業は、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などを研究する糖質科学の分野に特化した研究開発型製薬企業である。同社は以前から、営業部門や経理部門を中心に、社内でのデータ活用を推進してきた。
しかし、従来のデータ活用は、実務に必要なデータだけを基幹システムから抽出し、クライアント型BI(ビジネスインテリジェンス)ツールで日々のデータ集計作業を行うにとどまっていた。また、業務データが各部署に散在し、それぞれの部署が独自に管理していたため、全社規模での俯瞰的なデータ活用が難しい状況だった。
同社は、稼働していた会計システムの保守切れをきっかけに、基幹システムの構成を見直し、データ活用基盤を整備するプロジェクトを発足させた。データを格納するDWH(データウェアハウス)、データのETL(抽出/変換/登録)ツール、利用者みずからデータを集計・分析できるBIツールを選定し、アシストが提供する製品群を採用した。
社内の業務システムからデータ抽出するETLツールに「DataSpider Servista」、DWH基盤のデータベース製品は「Oracle Cloud Infrastructure」のDatabase Cloud Service、BIツールとして「Qlik Sense」を組み合わせたデータ活用基盤を構築し、2019年4月から順次リリースを開始した。同時に、国内2カ所に設置した工場におけるデータ可視化の基盤として今回の基盤を適用した。
現在生化学工業では現在、各部署において既存システムの置き換えが順次進んでいる。工場のデータ可視化では、生産状況、廃棄率、在庫などの情報をリアルタイムで可視化する12種類のアプリケーションを現場主導で独自に開発するなど、現場でのデータ活用が定着しつつある。今後は、IoTセンサーから取得したデータをAIで分析して故障の予兆検知を行うなど、データ活用を高度化させる。