[事例ニュース]

オンライン診療時に顔画像で患者・医師を本人確認、公開型生体認証基盤(PBI)の実証が完了

2021年4月15日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日立ソリューションズ西日本は2021年4月15日、沖縄県の医療機関で実験してきた「公開型生体認証基盤」(PBI)の実証が完了したと発表した。オンライン診療時に、顔画像で患者と医師双方の本人確認を実施する実証実験である。有用性、利便性、改善点などが分かった。実験の成果を踏まえ、2021年度に沖縄県から事業化する。

 日立ソリューションズ西日本は、登録情報の漏洩によるなりすましのリスクが低い「公開型生体認証基盤(PBI)」の実証実験を完了した。2020年10月から2020年度末にかけて、沖縄県の医療機関において、オンライン診療時の本人確認にPBIを適用した(関連記事オンライン診療時に顔画像で患者・医師の本人確認、2021年度に沖縄県から事業化―日立ソリューションズ西日本)。

 実証実験の結果、PBIを活用した本人確認システムの有用性、利用者の利便性、改善点などを検証・調査できたとしている。患者と医師、双方の本人確認を、Webカメラ画像だけで自動で行える。医療機関からは「十分に使用するメリットがある」旨の評価をもらったとしている。日立ソリューションズ西日本は、今回の実験の成果を踏まえ、2021年度に沖縄県から事業化する予定である。

Webカメラだけで患者と医師の双方を自動で本人確認

 実証したシステムは、導入が容易である。患者側のスマートフォンにアプリをインストールすることなく、特別な生体読み取り装置も不要で、スマートフォンに付属している通常のWebカメラで認証できる。さらに、病院側で利用しているオンライン診療システムに依存することなく、アドオンで利用できる。既存システムへの改修なども不要である。

 患者と医師間でオンライン診療のビデオ通信が確立した時点で、患者・医師双方の顔の生体情報を利用して、「患者が正しく本人であること」と、「資格のある医師が診察を行うこと」、を確認できる。医師の認証結果は、患者側にメールで通知する。これにより、現状目視で行っている本人確認をシステム化できる。

 なお、要素技術であるPBI(Public Biometric Infrastructure)は、生体認証とPKI(公開鍵暗号基盤)を組み合わせた、日立製作所が開発した認証基盤技術である(関連記事日立、ブロックチェーンの電子署名に生体認証を利用する技術を開発日立ソリューションズ、指静脈などの生体情報からPKIの秘密鍵を都度生成できる基盤ソフトを販売日立、手ぶらで決済できる「生体認証統合基盤サービス」、生体情報からPKIの秘密鍵を都度生成図1)。

図1:公開型生体認証基盤(PBI)の概要(出典:日立製作所)図1:公開型生体認証基盤(PBI)の概要(出典:日立製作所)
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 PBIのメリットは、情報が漏洩しても問題ないことと、なりすましのリスクが低いことである。生体情報の登録時は、特徴データを一方向性変換したデータを登録し、生体情報の画像データそのものは登録しない。本人を認証する際は、生体情報を基に秘密鍵をその都度作成するため、他者によるなりすましができない。

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