[事例ニュース]

オンライン診療時に顔画像で患者・医師の本人確認、2021年度に沖縄県から事業化─日立ソリューションズ西日本

公開型生体認証基盤(PBI)で患者・医師のなりすましを防止

2020年11月27日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日立ソリューションズ西日本は2020年11月27日、登録情報の漏洩によるなりすましのリスクが低い生体認証技術である公開型生体認証基盤(PBI)の実証実験を開始すると発表した。実験では、沖縄県の医療機関において、オンライン診療時に、顔画像で患者と医師双方の本人確認を実施する。現状目視で行っている本人確認をシステム化する。2021年度に沖縄県から事業化することを目指す。

 日立ソリューションズ西日本は、生体認証技術の1つで、登録情報の漏洩によるなりすましのリスクが低い公開型生体認証基盤(PBI)の実証実験を開始する。医療機関のオンライン診療を受ける際に、患者と医師の双方が本人であるかどうかを、顔画像で判定する。PBIはなりすましが難しいので、患者や医師のなりすましを効果的に防ぐことができるとしている。

 同システムによって、患者が正しく本人であることと、資格のある医師が診察を行うことを確認できる。医師を認証した後、患者側のスマートフォンなどに認証結果を通知する。現状目視で行っている本人確認をシステム化できるため、患者・医師双方の本人確認を自動的かつ確実に行える。今後普及するオンライン診療において、患者の取り間違いや、患者・医師のなりすましなどの課題を解決できるとしている。

 なお、今回の実験に使うシステムの名前は「公開型生体認証基盤(PBI)を活用した顔認証本人確認システム」である。日立ソリューションズ西日本と、日立製作所の特約店である沖縄エジソンが組んで立ち上げたコンソーシアムが企画し、沖縄県の補助金事業「令和2年度アジアITビジネス活性化推進事業」に採択されたプロジェクトである。経費の一部に、同補助金の交付を受けて実施する。

 コンソーシアムは、実証実験により、PBIを活用した本人確認システムの有用性、利用者の利便性、改善点などを検証・調査する。この上で、2021年度に沖縄県から事業化することを目指す。

公開鍵暗号基盤(PKI)と生体認証を融合、秘密鍵を都度生成

 なお、PBI(Public Biometric Infrastructure)とは、公開鍵暗号基盤(PKI)に基づいたキーペア(公開鍵と秘密鍵)を使いつつ、PKIに生体情報を組み合わせた、日立製作所が開発した認証基盤技術である(関連記事日立、ブロックチェーンの電子署名に生体認証を利用する技術を開発日立ソリューションズ、指静脈などの生体情報からPKIの秘密鍵を都度生成できる基盤ソフトを販売日立、手ぶらで決済できる「生体認証統合基盤サービス」、生体情報からPKIの秘密鍵を都度生成図1)。

図1:公開型生体認証基盤(PBI)の概要(出典:日立製作所)図1:公開型生体認証基盤(PBI)の概要(出典:日立製作所)
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 PBIのメリットは、なりすましのリスクが低いことである。生体情報は、初回のユーザー登録時、一方向変換によって復元できない形式にしてクラウド上に登録する。生体情報はどこにも保存しないので、ユーザー情報が漏洩しても、そこから生体情報や特徴データを復元することはできない。本人を認証する際には、生体情報を基に、秘密鍵をその都度作成する。都度生成した秘密鍵で署名をしつつ、署名者とユーザーをひも付けて検証する仕組みを持つ。秘密鍵は認証後に破棄するため、システム内には保存しない。

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