IDC Japanは2025年8月21日、国内SD-WAN市場の調査結果を発表した。2024年の173億円から年間平均成長率9.9%で推移し、2029年には277億円に達すると予測している。市場の成長要因として、企業におけるクラウド利用の拡大、リモートワークの定着、ゼロトラストセキュリティへのシフトなどを挙げている。
IDC Japanは、国内SD-WAN製品・サービス市場を調査した。SD-WANは、ソフトウェア定義(Software-Defined)のアプローチによってWAN(広域ネットワーク)を柔軟に構築・管理する技術のこと。物理的なネットワーク機器に縛られず、アプリケーションごとに最適な通信経路を動的に振り分けるローカルブレイクアウトを実現する。

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国内SD-WAN市場は、2024年の173億円から年間平均成長率9.9%で推移し、2029年には277億円に達すると予測している。市場の成長要因として同社は、企業におけるクラウド利用の拡大、リモートワークの定着、ゼロトラストセキュリティへのシフトなどを挙げている(図1)。
特に注目すべきは、ゼロトラストセキュリティの中核を担うSASE(Secure Access Service Edge)の普及だという。「SASEはネットワークとセキュリティを統合したアーキテクチャとして企業のネットワーク設計に変革をもたらしている。今後、働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展と共に、さらに重要性を増す」(同社)と見ている。
「企業はSASE/SD-WANの導入にとどまらず、セキュリティ対策全体の見直しやグローバルレベルでの統制強化、インシデント対応を契機としたセキュリティ高度化など、より包括的な取り組みを進めている。これに伴い、セキュリティ関連案件の規模も拡大傾向にある」(IDC)
今回の発表は、同社が発行した「国内SD-WAN市場予測、2025年~2029年」(JPJ52161925)に基づく。別のレポート「2025年 国内ゼロトラストエンタープライズネットワーク市場動向分析」(JPJ53026725)では国内SASE/SD-WAN市場の動向を分析している。