[市場動向]

NTT、光通信をネットワークスイッチ筐体内まで適用、メタル配線を3cm以内に抑えて消費電力を削減

2026年Q4に出荷、将来はチップ間も光で接続

2025年10月6日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NTTは2025年10月6日、光通信構想「IOWN(アイオン)」のロードマップを説明した。IOWN 1.0にあたるAPN(オール光ネットワーク)は、すでに製品化済みである。2026年Q4には、IOWN 2.0にあたる光電融合型のネットワークスイッチ機器を出荷する。その後、プロセッサ間(IOWN 3.0)やダイ間(IOWN 4.0)にまで光通信の範囲を広げる。

 NTTは、光通信構想「IOWN(アイオン)」のロードマップを説明した(図1)。IOWN 1.0にあたるAPN(オール光ネットワーク)は、すでに製品化済み。2026年Q4には、IOWN 2.0にあたる光電融合型のネットワークスイッチ機器を出荷する。その後、プロセッサ間(IOWN 3.0)やダイ間(IOWN 4.0)にまで光通信の範囲を広げる。

図1:光通信構想「IOWN(アイオン)」のロードマップ(出典:NTT)
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 IOWNは、これまでメタル線で伝送していた電気信号の一部を、光ファイバを使った光信号に置き換える構想である。背景について、NTTイノベーティブデバイス 代表取締役副社長CTOの富澤将人氏は「AI市場の拡大にともない、電力消費が増えている」と説明する。

 IOWNのロードマップについて、NTTイノベーティブデバイス 代表取締役副社長CTOの富澤将人氏は、「IOWN 1.0ではデータセンター間の距離を実質的に無くした。IOWN 2.0以降は、電力問題を解消する」と説明する。

 データセンター間を光でつなぐAPNによって、例えば再生可能エネルギーを豊富に使える地域にデータセンターを配置し、これを広域で利用可能。今後、光通信の適用範囲がサーバーなどの機器内部にまで広がることで、サーバー単体やスイッチ単体での電力消費も下がる。

 電気信号の伝送は、時間あたりの情報量が増えると、伝送距離に応じて消費電力が急激に増える(図2)。一方、光通信の場合、伝送距離による差はほとんどない。

図2:情報量と伝送速度に応じた、電気信号と光信号の消費電力の差(出典:NTTイノベーティブデバイス)
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 2026年Q4に出荷する光電融合型のネットワークスイッチ機器は、メタル配線の長さを3cm以下にする(図3)。

図3:NTTが2026年Q4に出荷する光電融合型ネットワークスイッチ機器の概要。メタル配線の長さを3cm以下にして消費電力を下げる(出典:NTTイノベーティブデバイス)
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 米Broadcomのスイッチ用ASIC(特定用途向けIC)の周囲に、NTTイノベーティブデバイスの光通信エンジン(6.4Tbps)を16個配置する(図4)。スイッチ全体の容量は102.4Tbpsである。筐体は台湾のAccton Technologyが製造する。NTTによると、光通信により、スイッチ単体で電力を50%削減できるという。

図4:NTTが2026年Q4に出荷する光電融合型ネットワークスイッチ機器の構成(出典:NTT)
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