IDC Japanは2021年5月25日、国内IT市場予測のアップデートを行い、その概要を発表した。同年3月末時点でのCOVID-19による影響を考慮した予測となっている。2020年12月発行のレポート(2020年9月末時点でのCOVID-19による影響を考慮)と比較し、2020年は前年比2.2%減の17兆8991億円(実績値)、2021年は前年比2.7%増の18兆3772億円と見積もっている。
IDC Japanは、同年3月末時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮した国内IT市場予測を発表した。同年3月末時点でのCOVID-19による影響を考慮した予測となっている。2020年12月発行のレポート(2020年9月末時点でのCOVID-19による影響を考慮)と比較し、2020年は前年比2.2%減の17兆8991億円(実績値)、2021年は前年比2.7%増の18兆3772億円と見積もっている(図1)。
IDCは次のように分析している。「COVID-19は、飲食、宿泊、運輸などのサービス業を中心に、国内経済へ深刻な影響を与えている。一方、サプライチェーンの混乱は収まり、製造業を中心に国内の主要産業は回復しつつある。また、テレワークや各種サービスのオンライン化による非接触の定着によって、通信分野がIT支出を牽引している」
製品分野別では、通信インフラ、ソフトウェア、IaaSが市場を牽引すると指摘している。要因として同社は、「国内通信事業者による携帯電話通信料金値下げによるスマートフォンの買い替え需要の増加、テレワークの進展による通信インフラの増強、IT市場のクラウドシフトや利用形態のサブスクリプション化の進展など」を挙げている。
産業分野別では、運輸分野で、COVID-19の影響による移動抑制が継続することを挙げ、運輸分野を除くすべての産業分野ではプラス成長に回復すると同社は見ている。「携帯電話料金値下げによってスマートフォンの買い替えが進むことから消費者分野が成長する。テレワークによる住環境整備に伴う、建設土木分野が成長する。在宅時間の長期化に伴う家電の購入や、自動車向けやスマートフォン向けの電子部品の需要が堅調な製造分野が成長する」(同社)
従業員規模別では、経営体力に乏しいSMB(中小企業)で事業継続が難しい状況に追い込まれる企業が増えている状況を挙げ、500人未満の企業では2021年もマイナス成長が継続すると同社は見ている。「年商規模別においても、経営体力に乏しい年商規模100億円未満の企業では、業績に深刻な影響が及んでおり、引き続きマイナス成長になる」(同社)
上記の予測は、国内でCOVID-19ワクチンの配布が開始されることで、2021年に経済成長率が2.8%のプラス成長に転じることを前提に作成しているという。「海外経済の復調と政府の景気刺激策によって下支えされるものの、回復ペースが緩やかなため、経済活動がCOVID-19の感染拡大以前の水準に回復するのは2023年以降になる」(同社)
IDCは、2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR)は2.6%、2025年の国内IT市場規模は20兆3776億円と見積もっている。「COVID-19の感染拡大や抑制に関する見通しは不透明な部分が多く、今後の状況によっては予測を大きく見直す可能性がある」(同社)としている。