[市場動向]

SECUREMATRIXが最優秀賞を獲得、情報サービス産業協会がJISA Awards 2021を発表

2021年7月2日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

ソフトウェア製品やサービスといえば海外製や国内有力ベンダー製に目が向きがちだが、SIer(システムインテグレーター)にもユニークな製品を提供している企業は少なくない。業界団体である情報サービス産業協会(JISA)は、そうした製品にスポットを当てる表彰制度を運営しており、2021年6月に「JISA Awards2021」の受賞製品を発表した。

 SIerに抱くイメージといえば、企業や団体から依頼を受けてシステム開発や運用を請け負う、いわゆる受託開発企業というものだろう。実際、SIerの多くはリスクのある製品の開発や販売ではなく、人材さえいれば確実に売上げが得られる受託開発、運用を主力としている。 一方で複数の企業に採用が見込めるソフトウェア製品を開発する動き少なくない。当然、その中には海外製品より安価だったり、使いやすかったりするものもある。

 情報サービス産業協会(JISA)が2012年から主催する表彰制度「JISA Awards」は、そうした製品やサービスにスポットを当ててきた。会員企業の技術力や製品開発力を業界団体としてアピールするのに加えて、会員各社の技術向上や製品開発への取り組みを刺激することが目的だ。

 2021年度のJISA Awardsは、2020年11月に会員企業から公募し、東洋大学情報連携学部学部長の坂村健氏を委員長とする選考委員会が5件の有力候補(finalist)を選出。5件の各社がプレゼンテーションし、最優秀賞(Winner)を選定した。最優秀賞ではないが、特に評価される製品を特別賞として1件選んでもいる(表1)。

表1:JISA Awards 2021受賞製品
受賞製品 開発企業
Winner ID秘匿化ワンタイム多様素認証「SECUREMATRIX」 シー・エス・イー
特別賞 生産設備の故障予兆を検知するIoTプラットフォーム「ParaRecolectar」「ParaReco Visualizar」 日本電子計算
Finalist 「AI・画像活用見える化サービス」 NECソリューションイノベータ
  クラウド型ワークフローシステム「Styleflow(スタイルフロー)」 TDCソフト
  核酸解析プラットフォーム「AQXeNA(アクジーナ)」 三井情報

 2021年度の最優秀賞に選ばれたのは、シー・エス・イー(CSE)が開発した多様素認証システム「SECUREMATRIX」。同社は1997年と早い時期からセキュリティ事業を開始。海外のセキュリティ対策製品を販売する一方で、2002年に認証システムとしてSECUREMATRIXをリリース。毎年のように機能を強化させ続けている。

 最新版のSECUREMATRIXは専用の認証機器が不要で、Webブラウザーだけで認証が行える。インストール後の初期設定ではパスワードを使うが、以降は不要なのが特徴だ。代わりにイメージ認証とデバイス認証という、2つの要素を使って認証する。イメージ認証では、利用者は都度提示されるマトリックス表(乱数表)からどの数字を選ぶか、その位置と順番を決めておく。図1では「L」の位置の数字を選ぶ想定だ。「L」の数字を選ぶのは利用者だけが知っているので、本人であると認証できる。

図1:イメージ認証の仕組み(出典:CSE)
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 デバイス認証は、インストール時にデバイスを登録するもの。その際、電子証明書がデバイスに付与される。認証時にはイメージ認証と電子証明書でデバイスを認証し、次回の認証のための新しい電子証明書を付与する。電子証明書を毎回、更新することで安全性を高めている(図2)。参考までに料金は、25IDで21万5000円からという。

図2:デバイス認証の仕組み(出典:CSE)
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 今回のAwardsではコロナ禍でテレワークを採用する企業が増えるなか、アクセスに伴うVPNなどの問題やややこしさを手軽に解決するソリューションであること、および累計で100万IDを達成した実績が評価された。

 特別賞は、日本電子計算(JIP)のIoT製品「ParaRecolectar」および「ParaReco Visualizar」。前者は、既存の機械や生産設備などに結束バンドやテープで固定するIoTセンサーとデータを収集するエッジデバイス。後者は複数のParaRecolectarのデータを集計・分析するソフトウェア。設備などの故障予兆の検知に実績がある。設備を改造することなく、最小構成で19万8000円からと安価にIoTを実現できる点が評価された。

 そのほかFinalistに選ばれたのは、NECソリューションイノベータの製造業向け「AI・画像活用見える化サービス」、TDCソフトのクラウド型ワークフロー「Styleflow」、三井情報の創薬向け解析プラットフォーム「核酸解析プラットフォームAQXeNA」の3製品となっている。

 AI・画像活用見える化サービスは、プロジェクションマッピング技術を使った不良品・異物の追跡システム。画像解析AIで判定した不良品や異物を、生産ラインのプロジェクターが照射してマーキングし、動的に追跡するサービス。Styleflowは、申請入力フォームの作成、承認ルートの設定、基幹システムとの連携などが行えるワークフローシステム。1ユーザー月額300円で利用できる。AQXeNAは、DNAやRNAといった核酸で構成された医薬品開発における、膨大なデータの解析作業を自動化するソフトウェアとなっている。

 Finalistを含めた応募全体について、坂村氏は「世の中のニーズを反映したものが多かった」と評価している。受託開発などを通じてたまたま製品化しただけの応募もあるが、相対的に企業が直面する課題を解決する製品が多かったという。

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情報サービス産業協会 / JISA

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