[調査・レポート]

DXへの取り組みは経営層の危機感が左右する? ─IPAがDX推進指標の分析結果を公開

2021年7月7日(水)田口 潤、杉田 悟(IT Leaders編集部)

2020年12月に公表された経済産業省の「DXレポート2(中間とりまとめ)」は、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みの遅れに警鐘をならすものであった。基礎になったデータは2019年7月の「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」で、日本企業の95%がDXにまったく取り組んでいないレベルにあるか、DXの散発的な実施に留まっているというのだ。情報処理推進機構(IPA)が2021年6月14日にこの分析レポートの最新版を公開している。1年後の状況はどう変わったのか見てみる。

DXへの取り組み状況を自己診断

 日本企業のDX推進状況を5点満点で見たとき、2019年の1.43から2020年には1.60に上がったものの、依然として歩みは遅い――。情報処理推進機構(IPA)は2021年6月、「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」の2020年版を公開した。有効な診断企業数は2019年が248社に対し、2020年は305社だった(いずれも重複などを除く有効回答)。

 DX推進指標は経済産業省が取りまとめ、自己診断できるようにIPAがWebサイト経由で提供しているもの(関連記事経済産業省、DXへの取り組み状況を自己診断で可視化する「DX推進指標」を公開)。診断したい企業は、様々な設問に5段階で回答すると自社のDX成熟度が算出される。

 成熟度の大まかな目安は、レベル0「未着手」、レベル1「一部での散発的実施」、レベル2「一部での戦略的実施」、レベル3「全社戦略に基づく部門横断的推進」、レベル4「全社戦略に基づく持続的実施」、レベル5「グローバル市場におけるデジタル企業」である(表1)。

表1:成熟度レベルの基本的な考え方(出典:情報処理推進機構「DX 推進指標 自己診断結果 分析レポート2020年版」)
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 設問は、DX推進のための経営のあり方や組織、制度などに関する指標(経営視点指標)と、ITシステムの構築に関する指標(IT視点指標)で構成されており、それぞれに定性指標と定量指標が用意されている。定性指標は、仕組みや体制といった枠組みのことで、定量指標は取り組み状況のこと(図1)。また、現在の状況を評価した「現在値」のほか、3年後の目標である「目標値」についても聞いている。

図1:DX推進指標の概要(出典:経済産業省「「DX 推進指標」とそのガイダンス」」)
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 成熟度レベルの現在値の平均は2019年が1.43だったのに対し、2020年には1.60と増加した。目標値は3.07から3.21になっており、増えてはいるが増加はわずかだ。一方、レベル3以上とDXの取り組みが進んでいる企業(先行企業)の割合は、4.4%から倍近くの8.5%に増えている(図2)。

図2:2019年と2020年のDX推進指標の分析結果
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 このことから、一部企業のレベルアップが成熟度の平均値を押し上げたと考えられる。つまり、DXに積極的な企業がレベルアップしている一方で、そうでない企業は低いレベルにとどまったままになっており、企業間格差が広がっている可能性があるということになる(2019年版と2020年版では分析対象企業の選定条件を変えており、経年比較では2020年版に条件を揃えたため、2019年版の数値は昨年の公表時と異なっている)。

 なお2019年版と2020年版の比較については、経産省が2020年12月に公開した「DXレポート2」(関連記事このままでは日本が負け組に転落する! ―経産省がDXレポートの第2弾で改革の遅れに警鐘)でも触れているが、ここでの2020年版の対象企業数は途中経過で、今回の305社より少ない223社となっているので注意が必要だ。

●Next:先行企業と非先行企業の違いは?

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