[イベントレポート]

日野自動車がデータ活用で他社と協業へ、損保ジャパンなど2社を選定

2021年8月26日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)

現在、多くの企業が、自社が所有するデータを経営判断や生産性向上だけでなく、新サービスや製品の開発など、もっと幅広い領域に活用できないか模索している。とはいえ、自社だけでできる範囲には、おのずと限界がある。そんな中、日野自動車がアクセラレータープログラムを開始するという話を聞いた。他社と協業してデータの新たな可能性を見出そうというのだ。2021年8月18日にそのプログラム「HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~」の最終選考会が行われた。

業界の課題を解決する新規ビジネスのアイデアを募集

 自動車産業に大きな変革をもたらしつつあるCASE(Connected、Autonomous / Automated、Shared、Electric)。その大波をかぶっているのは、乗用車だけではない。むしろトラックやバスなど商用車への影響が大きい。ユーザーの趣味嗜好が強く反映、影響する乗用車よりも、機能や性能、経済性が重視される商用車の方がCASEと相性がいいからだ。

 そんな状況もあって、国内最大手の日野自動車はまずC(Connected)から対応を進めている。2017年以降に発売した日野プロフィア(大型トラック)や日野レンジャー(中型トラック)、日野セレガ(大型観光バス)といった車両にセンサーデバイスと通信モジュールを搭載。それを活用したサポートサービス「HINO CONNECT」を2018年に開始した。

 これは、車両の位置情報、燃費に関わる情報、急な加減速など運転状況に関わる情報、自動ブレーキなどの安全装置が作動した場合の場所や時間などの情報、さらに車両に異常が発生した場合の情報などを、主に運行管理者、必要に応じてドライバーに提供するもの。ユーザーである運送会社における運行管理者の負担軽減、安全運転のサポート、整備の手間削減、および車両の稼働時間の最大化などを通じて、運送会社の経営に貢献するという。

 確かに運送会社の経営者や運行管理者、ドライバーにとって、これだけでもあるとないでは大違いだが、提供開始から3年、さらに高度化・進化させる必要もある。競合他社がキャッチアップしてくるし、何よりもHINO CONNECTが解決するのは運送会社が直面する問題の一部でしかないからだ。ドライバー不足、CO2排出量の削減、地域での持続可能な交通網の維持などである。

 そこで日野自動車は2021年5月~8月にかけて、「HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~」と呼ぶ、外部パートナー発掘のプログラムを企画し、実施した。5月に参加受付を開始し、60社の応募を得た。6月に第一次選考で5社・チームを選定。7月5日から8月17日の間に、5社・チームが日野自動車の担当者とアイデアを練り上げ、8月18日にプレゼンテーション・最終選考を行う「Demo Day」を開催する流れである(図1)。

図1:HINO ACCELERATOR 2021の概要(出典:日野自動車)
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 よくある協業先や投資先を発掘するためのアイデアコンテストと一線を画すのは、物流業界の高度化に焦点を合わせたこと、主催者である日野自動車のサービスやデータの活用を前提としたことだ。同社のCDO(チーフデジタルオフィサー)を務める小佐野豪績氏(写真1)は、意図をこう説明する。「大手の運送会社は自社でデジタル化に取り組めるが、中小に業務委託することも多いから1社での取り組みには限界がある。一方で約6万社ある運送会社の99%は投資する余力がない。当社なら物流業界を横断した形でオープンにやれる。他社からもアイデアを募り、物流業界を元気にしたい」。

写真1:CDOデジタル領域長の小佐野豪績氏

 一方、同社のDX推進部長である輿水学氏は「ドライバー不足が大きな問題。だからこそドライバーを憧れの存在にしたい」と話す。トラックやバスのドライバーは本来、運転に長けた高度なプロであり職人だが、外部からは見えにくい。データを使えば、それを可視化できる。将来、自動運転が実用化されるとしても、プロの運転技術は生きるはず、といった考えだろう。

●Next:グランプリ受賞企業の提案内容は?

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