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「白い恋人」の石屋製菓、製造ラインの見える化を実現―生産業務の平準化に向け、3Dシミュレーションを導入

2021年9月1日(水)杉田 悟(IT Leaders編集部)

「白い恋人」などのブランドを展開する石屋製菓は、同社の北広島工場に3Dシミュレーションソフトウェア「FlexSim」を導入した。製造現場の「人・モノ」の流れをデジタル上に構築し、新規設備投資のシミュレーションや、スタッフの検品作業等の現場教育ツールとして活用する。FlexSimを提供したゼネテックが2021年8月31日に発表した。

 北海道土産の定番といえば「白い恋人」。そのメーカーである石屋製菓が製造現場や担当スタッフの状況を見える化し、スタッフの熟練度による業務品質や生産性のブレを減らす業務平準化に取り組んでいる。製造現場の人やモノの動きをデジタル空間上に再現する3Dシミュレーションツールを導入するもので、新規設備導入時の効果や動線の事前検証、検品のような作業の教育にも利用できるという。

 札幌市に本社を置く石屋製菓は同じ市内の宮の沢工場、および北海道北広島市の北広島工場で合わせて400種類以上の製品を製造している。製造現場では経験、年齢、国籍など人材の多様化・流動化が進み、熟練者とその他の作業スタッフの業務品質や生産性がバラつく課題を抱えている。そこで同社が検討したのが製造現場の人やモノの動きを見える化することだった。そのためのツールとして、まず北広島工場(写真1)に「FlexSim」というツールを導入した。

写真1:石屋製菓の北広島工場(出典:ゼネテック)

 導入したのは「白い恋人」の検品工程で、理想的な作業スタッフの動線をシミュレーションで探り出せるようにした。実際の作業スタッフの動線データを追加すれば画面上で双方を比較でき、何をどのように変えれば理想の動線になるかをスタッフ自身に理解してもらうために活用している。これにより経験が少ないスタッフでも早期に効率的な作業が行えるようになることを目指している。

 新規に導入する設備の性能評価シミュレーションにも活用している。同じ北広島工場で、倉庫から製品を出荷する際の荷積みを効率化・自動化するパレタイザーを導入する際に、求められる処理能力をシミュレートして、必要なパレタイザーの仕様や台数を算出したという。国内外の3Dシミュレーションツールと比較した結果、ユーザーインターフェースのわかりやすさが導入の決め手になったとしている。今後、少品種少量の手作り菓子も含む400品目すべての生産や関連業務をFlexSimで標準化し、効率向上やコスト削減につなげたい考えだ。

 FlexSimは、米ユタ州のFlexSim Software Productsが開発する3Dシミュレーションツール(日本ではゼネテック=東京都新宿区、が販売)。製造ラインや加工プロセス、物流倉庫などのモデルを3次元グラフィックスで作成して構成要素の情報を設定すると、シミュレートできるようになる(図1)。人やモノの動線を可視化する、機械の稼働率やスタッフの作業負荷、作業時間などを任意の形式のグラフでダッシュボードに一元的に表示する、といったことだ。

図1:現場でのヒト・モノの位置情報を測定、FlexSimに表示する事でヒト・モノの動線の分析を行う(出典:ゼネテック)
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 開発元のWebサイトによると、現在世界77カ国で使用され、累計5万ライセンス以上を販売している。米国ではコカ・コーラをはじめ、テスラやグッドイヤー、GE、IBMなどの大手製造や、アマゾン・ドットコム、フェデックスといった大手流通関連企業が採用している。これに対し、石屋製菓は2020年4月期の連結売上高が180億5400万円、社員数は670人(本体のみ)の中堅企業。デジタル化に取り組むのに企業規模は関係ないことを示す事例と言えるだろう。

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石屋製菓 / FlexSim / 3Dシミュレーションソフトウェア

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