三井化学は2021年9月24日、市況商品(市況に左右されやすい商品)の価格変動をAIで予測する実証を行ったと発表した。価格変動予測モデルの構築にNECの「dotData」(開発元:米dotData)を採用し、成果として、当該商品の翌月の需要を高精度に予測できるようになったという。今回の実証を踏まえて、AIを活用した需要予測システムの本格導入を目指す。
三井化学によると、同社はこれまで、業務担当者の知見や経験に基づき、過去の価格・採算推移や為替などの週単位に集計したデータを用いて、製品の需要動向の予測を行ってきたという。しかし近年、「グローバル化の進展に伴い市場ニーズが急激に変化し、需要動向の予想が難しくなっている。このため、原料の調達価格と調達数量、生産量を最適に制御する必要があった」(同社)という。
そこで同社は、市況商品(市況に左右されやすい商品)の価格変動をAIで予測する実証を行った。同社の実際の商品を対象に、過去数年にわたる日次/週次の在庫データや工場稼働率、販売数量などのデータを基に、価格変動予測モデルを構築した。
モデルの作成にあたっては、NECが提供するAIモデル自動作成ツール「dotData」(開発元:米dotData)を用いて無数の特徴量候補から有効なものを自動抽出した。dotDataは、従来データサイエンティストが行っていたデータプレパレーション(準備)、仮説立案、マシンラーニング(機械学習)、分析結果の説明などを自動化する(関連記事:NEC、データ分析をAIで自動化するdotDataのクラウド版「dotData Cloud」を販売)。
実証の成果として、当該商品の翌月の需要を高精度に予測して、市場動向を踏まえて適正な販売価格を設定できるようになったという。よりよい販売計画に基づいた調達・生産を可能にすることで、在庫金額の削減効果として数億円規模を見込めるとしている。また「XXXXの動きと○○○○の価格に相関がある」といった、人間では気づきにくい新たな業務知見も得られたという。