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[市場動向]

大規模な計算を多数のスマートフォンで分散処理─CTCと東京工科大が商用化を目指して研究

2021年10月6日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と東京工科大学は2021年10月6日、ネットワークに接続した多数のスマートフォンを用いて大規模な計算処理を並列分散する手法の共同研究を開始したと発表した。東京工科大学が高性能なコンピュータに関する知見から手法を開発し有用性を評価する。CTCが同研究に協力しながら商用化や適用範囲拡大などの検討を進める。共同研究期間は同年7月1日から12月30日までで、2022年4月の商用化を目指す。

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と東京工科大学は、ネットワークに接続した多数のスマートフォンを使って大規模な計算処理を並列に分散する手法を研究する(図1)。計算負荷の高い処理をスマホに分散して実行させる仕組みである。東京工科大学コンピュータサイエンス学部教授の石畑宏明氏の研究室に、スマホによるグリッドコンピューティング環境を構成する。

図1:スマートフォンを用いた並列分散処理のイメージ図(出典:伊藤忠テクノソリューションズ)図1:スマートフォンを用いた並列分散処理のイメージ図(出典:伊藤忠テクノソリューションズ)
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 通常であれば高性能なサーバーを必要とする「AIを用いた株価予測プログラム」を用いて、スマホによるグリッドコンピューティング環境の性能を評価する。株価や為替レートなど、24項目のデータから翌日の株価を予測し、分散の程度に応じた処理時間や、通常の環境との差異などを確認する。

 評価に用いるAIを用いた株価予測プログラムは、東京工科大学コンピュータサイエンス学部教授の瀬之口潤輔氏が2020年に開発したプログラムである。株価や為替レート、金利、 商品価格などの公開データをAIが分析し、翌日の株価を予想する。

 CTCは、ネットワークセキュリティの強化やソフトウェア品質の向上などに関連して研究に協力し、同環境の商用化を目指す。また、金融分野の取引リスク管理、株や債券などの市場性商品の価値予測など、大規模な計算が必要なシステムへの対応も視野に共同研究を進める。

 研究の背景について両者は次のように説明している。「スマートフォンは、企業が一定数をIT資産として保有しており、従業員に貸与している場合も多い。夜間や休日などの未使用の時間にスマートフォンの計算資源を活用できるようになれば、IT資産の利用効率が向上する。また、スマートフォンは年々高性能になっているため、AIやデータ分析で必要となる負荷の高い処理を、より少ない台数で処理しやすくなっている」。

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