[市場動向]
富士通、防犯カメラ画像から位置や角度を算出して対象人物の身長を推定する技術
2021年10月21日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
富士通は2021年10月21日、夜間など鮮明ではない防犯カメラの映像から人物を特定するための技術を開発したと発表した。移動中の人物を同じカメラで撮影した複数枚の画像から、カメラの位置、角度、焦点距離を算出し、対象人物の身長を推定する仕組み。これにより、長さの基準となるものが映り込んでいない場合でも身長を推定し、対象人物の特定を可能にする。2022年中の実用化を目指す。
富士通は、夜間など鮮明ではない防犯カメラの映像から人物を特定するための技術を開発したと発表した。移動中の人物を同じカメラで撮影した複数枚の画像から、カメラの位置、角度、焦点距離を算出し、対象人物の身長を推定する仕組み。これにより、長さの基準となるものが映り込んでいない場合でも身長を推定し、対象人物の特定を可能にする(写真1)。
拡大画像表示
「防犯カメラは商業施設や公共機関など各所に設置され、不審人物の検出や迷子の捜索などに活用されている。夜間など、映像が鮮明ではない状態では、人物の髪型や持ち物、服装などの特徴に加え、身長の情報を照合して解析して人物を特定している。しかし、身長を推定するためには、長さの基準となる横断歩道やガードレールなどを意図的に映し込む必要があった」(同社)。
富士通は今回、長さの基準となるものが映り込んでいない場合でも人物の身長を推定可能な、マーカーレスな人物照合技術を開発した。同社のAI技術「行動分析技術Actlyzer」によって認識した人物の骨格情報を活用し、映像の中で常に同じ身長になるようにカメラの位置や設置角度を導出する仕組みである(図1)。
拡大画像表示
富士通が作成したデータを用いて評価したところ、服装が変わり、映像の色味が変わっても、色味に変化がない場合と同等の精度で人物を特定できたという。今後、既設のカメラを含む各種の防犯カメラに技術を適用するべく、2022年中の実用化に向けて、精度の向上を目指すとしている。