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航空機製造工場の目視検査をAIで自動化─三菱重工のGoogle Cloud Vertex AI活用

2021年10月26日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三菱重工業が、航空機製造工場の目視検査をAIで自動化する2つのプロジェクトを、Google CloudのVertex AIを用いて推進している。1つは、リベットの穴を開けた際に出る切粉の残置を検知するシステムで、実証を経て今後の本稼働を予定している。もう1つは、Webカメラ映像から作業者の現場離脱状況を把握するシステムで、すでに稼働開始している。2021年10月26日、Google Cloudの説明会に登壇したプロジェクトのキーパーソンが取り組みの詳細を紹介した。

 三菱重工業は、航空機を製造している江波工場(広島県広島市)における、2つのAI活用プロジェクトについて説明した。いずれも、AI画像認識によって目視検査を自動化するプロジェクトである。AI技術として、Google CloudのVertex AIを利用している。Vertex AIは、マシンラーニング(機械学習)を使ったAI判定モデルを簡単に作成できるマネージド型のクラウドサービスである。

 同社の課題として、航空機の製造は、まだ人手に依存した労働集約型の作業であり、自動化が進んでいない(図1)。例えば、航空機のドア(乗降口)などは職人による手作業での組立が残っており、自動組立ラインでは製造できていない。AIを活用することによって、自動化の範囲を広げるとともに、労働集約型の労働を効率化する狙いがある。

図1:三菱重工の江波工場における課題認識(出典:三菱重工業)図1:三菱重工の江波工場における課題認識(出典:三菱重工業)
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 最初に紹介したプロジェクトは、リベットを打つ機械において、穴を開けた際に出る切粉をAI画像認識で検知するシステムである。本稼働は今後の予定である。現在では、オペレータが切粉の残置を手動で検知し、エアノズルで排除している。切粉の残置が発生する割合は1000穴につき1回(1カ月に3回)程度であり、1回につき最大で120秒の切粉排除時間がかかっている。切粉の残置をAIで検知できるようにする。

 もう1つは、Webカメラ映像から作業者が現場を離脱しているかどうかをリアルタイムに把握できるシステムである(図2)。同事例はすでに稼働している。作業エリア内の作業員を検知するAIモデルを作成した。検出した作業者を途切れなく追跡する技術も開発した。

図2:AIを活用し、作業者の離脱状況をWebカメラ映像からリアルタイムに把握する(出典:三菱重工業)図2:AIを活用し、作業者の離脱状況をWebカメラ映像からリアルタイムに把握する(出典:三菱重工業)
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 なお、三菱重工の江波工場では、航空機の主翼から後ろの胴体構造を製造している。航空機の製造市場はコロナウイルス感染症の影響で減っており、2019年と同等に戻るのは2024年くらいになるとしている。同社は、今後の需要回復に向けた取り組みとして、AI/IoTと自動化の高度化、デジタル人材の育成などを挙げている。

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