stu、KDDI、渋谷未来デザイン、NHKエンタープライズの4社は2021年11月8日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)において、映像撮影用のカメラ配線をローカル5Gに置き換える、ワイヤレス映像撮影システムの実証実験を開始した。
stu、KDDI、渋谷未来デザイン、NHKエンタープライズの4社は、東京都渋谷区が運営するLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂、注1)において、映像撮影用のカメラ配線をローカル5Gに置き換える、ワイヤレス映像撮影システムの実証実験を開始した(図1)。
注1:LINEが2019年6月1日~2029年3月31日の期間でネーミングライツ(命名権)を保有し、渋谷公会堂はその間、LINE CUBE SHIBUYAの名称となる
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実証では、楽器や音響機材などをローカル5Gで接続し、コンサートホールにおけるローカル5Gの有用性を検証する。低コストで高品質な設営が可能な映像撮影システムを確立することで、売上が減少する状況下でも継続的に収益を確保する環境の構築を目指す。
複数台のワイヤレスカメラを活用した映像転送システムを構築する。また、コンサートホールの特殊な壁面構造(ボックスインボックス構造)におけるローカル5Gの電波減衰をモデル化する。そのうえで、建物侵入損を考慮した電波伝搬モデルの精緻化に取り組むとしている。
4社の役割を示している。stu(代表)は全体統括、課題実証主体、免許取得、請負主体を担う。KDDIは技術実証統括、キャリア5G協調連携を担う。渋谷未来デザインは実証会場協力団体などとの連携調整、地域実装に関するアドバイス、実証結果の普及促進を担う。NHKエンタープライズは課題実証統括、放送技術協力、実証公演企画を担う。
なお、今回の実証実験は、stuを幹事とするコンソーシアムとして、総務省の「令和3年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に申請し、「ローカル5Gネットワーク網を活用したコンサート空間内におけるワイヤレス映像撮影システムの構築」として2021年8月31日に採択されたものである。
実証実験の背景について、コロナ禍におけるライブエンターテインメントは、公演回数の減少や動員客数の入場制限などによって、1公演あたりの売上が大きく減少していることを挙げる。「機材の設営などにかかる費用は、公演回数や動員客数とは関係なく一定額発生するため、コロナ禍のような売り上げが減少するなかでは、運営コストの低廉化による収益の確保が必要となっている」という。