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処理に制約があるエッジ機器でも大量の映像から物体を検知─NECの「漸進的物体検知技術」

高速低精度モデルと高精度モデルを組み合わせて処理性能が8倍に

2021年11月17日(水)IT Leaders編集部

NECは2021年11月16日、「漸進的物体検知技術」を開発したと発表した。映像分析の基本要素である「物体検知処理」を、検知精度を維持しつつ高速に実行できる技術である。同技術を適用することで、処理能力に制約があるエッジ機器でも、大量の映像に対する物体検知について最大で約8倍の速度で処理できるとしている。2022年度の製品化を目指す。

 NECが開発した「漸進的物体検知技術」は、高速だが精度が劣る物体検知AIモデルと、高精度だが演算量の多い物体検知AIモデルを組み合わせ、それぞれの利点を活かして効率的に複数の画像を処理する技術である。処理能力に制約があるエッジ機器でも、大量の画像の中から分析対象を高速・高精度に検知できるとしている(図1)。

図1:漸進的物体検知技術の処理イメージ(出典:NEC)図1:漸進的物体検知技術の処理イメージ(出典:NEC)
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 高速な物体検知AIモデルによって、粗い精度で複数検知する。次に検知した結果をまとめて、高精度な物体検知AIモデルで処理する。これにより、検知対象を徐々に(漸進的に)精緻化し分析する。NECによると、カメラ映像から車両のナンバープレートを検知する例では、精度の高い物体検知AIモデルを単独で使用する場合に対して、検知精度を維持しつつ、約8倍の処理速度を達成できたという。

 映像分析の活用シーンとしてNECは、車両や交差点のカメラ映像を分析することで、交差点の見守りや交通管制に役立てる用途や、店舗や倉庫のカメラ映像の分析により、立ち入り禁止区域への侵入を検知する用途を挙げている。

 NECは、上記のような映像分析の活用にあたっての現状の課題を挙げている。以下の課題を解決するために、今回、漸進的物体検知技術を開発した。

 「リアルタイムに実行するには、カメラなどのセンサーの近くにエッジ機器を置いて処理させることが理想である。しかし、エッジ機器は廃熱・冷却が難しく、消費電力を低く抑えなければならないめ、GPUなどの高性能プロセッサを利用できず、処理能力に制約がある」。

 「映像分析では、ディープラーニング(深層学習)を活用した物体検知ソフトウェア(物体検知AIモデル)を利用する。AIモデルは、カメラで撮影した映像から分析対象となる物体を探し出す物体検知処理を行う。しかし、精度の高い物体検知モデルは演算量が多いため、処理能力に制約があるエッジ機器では、大量の映像の処理を行うことが難しいという課題がある」。

 「一方、演算量を削減した高速な物体検知モデルを利用する場合、一般的に演算量と精度はトレードオフの関係にあるため、演算量を削減すると精度が低下して、映像分析に求められる認識精度要件を満たせないという課題がある」。

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NEC / エッジコンピューティング / 物体検知 / R&D

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