TISは2021年11月19日、システム構築サービス「請求書支払業務自動化サービス」を強化し、電子帳簿保存法の改正を踏まえた新機能を拡充したと発表した。請求書支払業務自動化サービスは、経理部門の請求書支払プロセスを自動化するシステムを、AI-OCRとRPAを組み合わせて構築するSIサービスである。TISが開発したRPAテンプレートを活用して構築する。今回、電子帳簿保存法を踏まえた新機能を拡充した。
TISの「請求書支払業務自動化サービス」は、経理部門の請求書支払プロセスを自動化するSIサービスである。経理業務に特化したAI-OCR(光学文字認識)と、TISが開発した経理部門向けのRPAテンプレートを組み合わせてシステムを構築する(図1、関連記事:TIS、AI-OCRとRPAを組み合わせた「請求書支払業務自動化サービス」を提供)。
AI-OCRに、ファーストアカウンティングの「Robota」を採用している。特徴は、経理業務に特化している点である。経理業務で使う証憑書類の形式をあらかじめ学習しているため、事前に帳票の形式を定義することなく、項目の値を読み取れる。また、AIが読み取った値を自動で確認するロジックチェックなどの機能を備えており、データが正しいかどうかの確認を効率化できる。
RPAソフトウェアは、UiPathの「UiPath Platform」。これにTISが開発した経理業務向けのRPAテンプレートを用意している。これをAI-OCRと組み合わせることで、請求書支払プロセスを自動化する。経理向けRPAテンプレートには、AI-OCRの呼び出し、AI-OCRの読み取り結果と申請内容の不一致検知、支払期限の遅延チェック、申請内容の不備確認、AI-OCRやRPAだけで判断できない場合の人へのエスカレーション、などの機能を組み込んでいる。
今回の機能強化では、令和3年(2021年)度の税制改正における電子帳簿保存法の改正を踏まえた新機能を拡充した。令和3年(2021年)度の電子帳簿保存法改正に合わせた請求書の電子保存機能を追加した。スキャナ保存や電子取引のファイル保存における保存期間や検索機能といった電子帳簿保存法の保存要件を、同サービスを導入するだけで満たすことができるようになる。
電子保存前の各種確認作業を自動化する機能も追加した。まず、各請求書を電子保存する前には、入力期間の条件や請求書スキャン時の解像度/カラー条件などを確認する必要がある。同サービスでは、これらの煩雑な確認作業や申請の差戻し、紙で保管する必要があるかどうかの判断などを自動化する。
サービス機能強化の背景として同社は、上述の電子帳簿保存法の改正で、スキャナ保存などの電子化要件が緩和されることを挙げている。「一方、2022年1月1日以後、電子取引は電子データのまま保存することが義務化され、電子データで受領した請求書等を紙に印刷して保管する運用ができなくなるなどの変更もある。電子帳簿保存法の改正により、スキャナ保存のニーズのみならず、これまで印刷して紙で保管していた帳票を電子化するニーズが増える」(同社)。