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最新「クラウド×ストレージ」の凄み
先駆者が協業する先に見える理想像とは

2021年12月15日(水)

次代のデジタル経営を支えるIT基盤に思いを巡らせる時、ひときわ重要性を帯びてくるのがストレージだ。クラウドファーストからクラウドマストへの節目の中で、技術やサービスは驚くほどの進化を遂げている。その実像を知ることのできる注目のオンラインイベントが開催された。「ネットアップクラウドクエスト ~勇者たちよ天空へと続く道を切り開け~」(2021年11月18日~19日LIVE配信 / 2021年12月28日までオンデマンド配信中、主催:株式会社ネットワールド、協賛:ネットアップ合同会社)がそれだ。2つの人気セッションを中核に据えて、当イベントのエッセンスをお伝えする。

データ駆動型での最適な意思決定や、働き方改革による生産性アップなどによって、迅速かつ緻密な経営を実現することこそが競争力の源泉だ。これからのビジネス環境は、先を読むことが益々難しくなるし、変化の振れ幅も大きくなる。それに弾力的に追随し得るIT基盤が極めて重要であることに異論を挟む余地はなく、そうした文脈で脚光を浴び、また市場も活況となっているのが「クラウド×ストレージ」の領域である。

中でも注目株はネットアップ(NetApp)だ。独自のストレージ技術をクラウドでも利用できるようにいち早く取り組んできた。同社のソリューションはオンプレミス環境にとどまらず、今や、AWS/Azure/GCPのどの環境でも利用できる。加えて、クラウドベンダーのネイティブサービスとして、NetAppの技術を利用したAzure NetApp FilesやAmazon FSx for NetApp ONTAPなどもリリース済みだ。

もっとも、矢継ぎ早な市場展開は、往々にして使い手側の消化不良をも誘発しがち。NetAppの最新ソリューションの本質的な価値はどこにあるのか──。そこにフォーカスしたイベントが「ネットアップクラウドクエスト」である。主催したネットワールドは、2008年にアジアで初めてNetAppの販売代理店となり、オンプレミスが主流だった時代から今日までに、多くの実績を積んできた経緯がある。ネットアップクラウドソリューションにもいち早く着目し、各種検証や導入サービスの展開などにも力を入れており、クラウドクエストのセッションでも紹介している。本稿では、特に人気を集めた2つのセッションに焦点を当てながら、エッセンスをお伝えしよう。

Day1注目セッション:ANF対CVOの構図で特長を詳説

Day1の注目セッションは「Azure NetApp FilesとCloud Volumes ONTAP、Azureで使うなら結局どっちがいいのか?」である。ネットアップクラウドソリューションの代表的な2つのソリューションについて、ネットワールドの福住遊氏とネットアップの工藤政彦氏が「対決」を装いながら、分かりやすく解説した。

まず口火を切る形で、Azure NetApp Files(ANF)をおさらいしたのが工藤氏だ。Microsoft Azureの1stパーティサービスとして提供しているもので、NetAppファイルストレージをMicrosoftがフルマネージドでサポートするのがANFだ。Azureのデータセンターに、NetAppのベアメタルのハイエンドストレージを設置しAzureでラッピング。ユーザーは、AzureポータルからAzureネイティブのストレージサービスとして運用管理できる。

フルマネージドのサービスであり、MicrosoftはPaaSとして訴求している。ユーザーが面倒を見る要素が少ない、手間いらずなサービスであり、ハードウエアの故障交換なども発生しない。ストレージOSであるONTAPのバージョンアップなどの運用も不要だ。利用できるボリュームは、NFSボリューム、SMBボリューム、NFS/SMBデュアルプロトコルボリュームの3つ。SLAは99.99%であり、日本リージョンはサービス開設以来I/Oが止まったことがないので、実績レベルでは100%という。

VDI環境のサインインストーム対策などに定評があり、SAP HANAが要求する1秒未満のレイテンシにも対応するなど、様々なユースケースをカバーするが、大きくは7つのシナリオを想定している。SAP(HANAデータベースなど)、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、VDI(デスクトップ仮想化)、AVS(Azure VMware Solutions)、Oracle(データベースなど)、ARO/AKS(コンテナ環境の永続ストレージなど)、ファイルサーバーだ。

VDI領域以外でも活用進むAzure NetApp Files

続いて福住氏が、VDI領域での事例に言及した。ANFの典型的用途の一つがAzure Virtual Desktop(AVD)のプロファイル置き場としての使い方。ミドルウエアとしてのFSLogixと、ストレージとしてのANFが事実上の標準になっている。富士電機ITソリューションズとネットワールドが導入を手がけた流山市教育委員会のケースも、そうしたものの一つ。小中学生が1人1台のタブレット端末を持っている同市において、教師が使うIT環境も時流に沿ったものとすべくモダナイズを図った。

具体的には、従来のオンプレミスのVDI環境をAzure Virtual Desktopに移行。最終的なユーザー数は1100人で、流山市の小中学校の教師のほとんどが利用する規模だ。ユーザープロファイル置き場は、定番のFSLogixとANFの組み合わせ。検討段階ではAzure Filesを使う案もあったものの、FSLogixとの組み合わせであれば低遅延で高性能であることを評価してANFを選択するに至ったという。

とかくVDI領域で存在感を示すANFだが、それ以外の用途でも導入が広がっているとする工藤氏は、SAP HANAデータベースの事例も増えてきていることを強調。具体例として、米The Coca-Cola CompanyのIT基盤を運営する米Coke One North America(CONA)の事例を紹介した。多彩なユースケースをこなすANFの特長として同氏が挙げるのがデプロイが簡単なこと。①NetAppアカウントを作成し、②容量プールを作成し、③ボリュームを作成する──基本的にはこの3ステップで、ものの10分で導入できることを視聴者に訴えた。

バックアップなどで存在感示すCloud Volumes ONTAP

そのほか、ファイルサーバー的な使い方をしている国内企業の事例紹介を受けて、福住氏は「その用途ならCloud Volumes ONTAPでもいいのではないか」という論点を取り上げた。

Cloud Volumes ONTAP(CVO)とは、NetAppのストレージOSであるONTAPを、Amazon Web Services(AWS)やAzureやGoogle CloudなどのIaaS上の仮想サーバーで動かすものだ。ONTAPで使える機能群はほぼ全て使えるのに加え、オンプレミスのONTAPからスナップミラー(SnapMirror)でデータ転送することもできるため、ハイブリッドクラウド環境でのアドバンテージがある。──こう説明を加えた福住氏は、バックアップの切り口での比較に話を向け、さらに次のように続けた。

ANFのバックアップは基本的にはスナップショットであり、「本番環境と同じ場所」を対象とする。本来のBCP的アプローチでのバックアップを目的とするならば、別の場所に保管すべきである。従来のオンプレミスの場合だと、NetAppストレージを2台用意して、うち1台を別の場所に置いてSnapMirrorするのが常套手段。CVOであれば、その運用と同じように、東日本リージョンと西日本リージョンの間でスナップミラーができる。

これに対して工藤氏は、ANFも「クロスリージョンリプリケーション(CRR)」と呼ぶ機能で、東日本リージョンと西日本リージョンの間でデータをレプリケートできることを紹介。ただし、Azureのペアリージョン(国内の東西リージョンなど)でしかレプリケートできないという条件が付く。また、Azure BlobストレージにSnapMirrorできるCVOに追随するように、ANFも「Azure NetApp Files Backups」と呼ぶパブリックプレビュー機能をリリース。ZRS(ゾーン冗長)のBlobストレージにANFのボリュームデータをコピーできることが解説された。

容量とコストのバランスで比較を試みる

続いて論点は「容量とコストのバランス」へと移り、まず工藤氏がANFの課金体系がスタンダード/プレミアム/ウルトラの3段階であり、容量を増やすと性能が上がるという関係を紹介。スタンダードは1Tバイトあたり16Mバイト/秒、プレミアムは64Mバイト/秒、ウルトラは128Mバイト/秒だ。性能を変える代わりに、容量あたりの課金額を変えている。例えば、スタンダードをプレミアムにすると、金額は2倍で性能は4倍になる。ウルトラにすると、金額は約2.6倍で、性能は8倍になる。1円あたりの性能が最もよいプランはウルトラだが、ウルトラは保管コストが高くつくので、SAP HANAなどの用途に適している。ファイルサーバーなどの用途では、スタンダードに分があるわけだ。

福住氏はANFの課金体系はシンプルで分かりやすいとしつつも、世の中のアプリケーションには、容量が増えた時に性能が上がる必要がないものもあり、その代表格がファイルサーバーだと指摘。その点において、CVOの場合は、容量を増やしても性能はそれほど上がらず、価格もそれほど上がらないという特長を来場者に訴求した。あまり使わないデータをAzure Blobストレージに自動で移動するILM(階層型ストレージ管理)機能を標準で使えるのがメリットだ。

ANFにILM機能はないものの、ボリュームごとにQoSをかけることができる点を工藤氏は強調。ファイルサーバーと同時に別のシナリオでも使うのであれば、そこに性能を寄せて余剰分をファイルサーバーに適用できることを付け加えた。

頼りになるパートナーに相談するのが近道

両氏の掛け合いによって見てきたANFとCVOの違いを改めてまとめると「ストレージ設計の自由度」ということになるだろう。ANFはフルマネージドのサービスゆえに、ユーザーが管理すべき要素、逆に捉えるならユーザーが触れる要素は少ない。容量(料金)を増やせば性能が上がるというシンプルかつ割り切ったサービス体系となっており、その観点では設計の余地がほとんどない。

一方のCVOは、仮想マシンの性能やストレージの容量、ILM機能を使う場合のオブジェクトストレージ(Blobストレージ)の使用割合などを自由に設計できるのが特長だ。コストを抑えつつデータ容量を増やすなど、ユーザー側に工夫の余地があるのが魅力である。

ユーザーの事情や要件は各社さまざまであり、どちらを採用すべきか決めきれないこともあるだろう。そうした場合は、実績と知見が豊富なネットワールドに相談するのが近道だ。特にクラウドの領域は動きが激しいだけにキャッチアップするのは言葉ほど簡単ではない。今後のロードマップも含めて、しっかりした情報を持っているパートナーが何よりも頼りになる。

Day2注目セッション:Amazon FSx for NetApp ONTAPの全貌

Day2の注目セッションは、「Amazon FSx for NetApp ONTAPの全貌」と題して繰り広げられたパネルディスカッションだ。登壇者は以下の通りである。

  • 川端真氏(アマゾンウェブサービスジャパン ストレージ事業本部 シニアソリューションアーキテクト ストレージスペシャリスト)
  • 藤原善基氏(ネットアップ クラウド営業部 クラウド ソリューション アーキテクト)
  • 高田悟氏(ネットワールド セールスコンサルティング部 部長代理)
  • 福住遊氏(ネットワールド セールスコンサルティング部 課長)

AWSとネットアップは2009年から協業

Amazon Web Services(AWS)のファイルサーバーサービスの1つとして、ONTAPをAWS上で提供する「Amazon FSx for NetApp ONTAP」がリリースされたのは2021年9月2日のことだ。AWSがファイルシステムをフルマネージドで提供する「Amazon FSx」には幾つか種類がある。「Amazon FSx for Windows File Server」は、Windowsのファイルサーバー機能を提供。「Amazon FSx for Lustre」は、HPC向けの高速なファイルストレージを分散ファイルシステムのLustreを使って提供するものだ。それらに続いてONTAPを提供する「Amazon FSx for NetApp ONTAP」がラインナップに加わった位置づけとなる。

AWSとネットアップとの協業は、すでに2009年からグローバルで展開されてきたものだ。国内でも2011年の東京リージョンの開設を機に歩調を合わせてきた。例えば、AWS MarketplaceでSDS(ソフトウエア定義型ストレージ)の「ONTAP Cloud(現在のCloud Volumes ONTAP)」を購入できるようにしたり、AWS上でONTAPストレージを提供する「Cloud Volumes ServiceのAWS版」を開始したりしてきた経緯がある。これらはネットアップがサポートしていたのに対し「Amazon FSx for NetApp ONTAPはAWSのサポートを受けられることとなり、そこにメリットを感じるユーザーもいることでしょう。ソフトウエアの更新も自動でできますし、必要であれば曜日や時刻を指定した更新も可能です」とネットアップの藤原氏は話す。

勝手知ったるONTAPがネイティブに動く

ユーザーにとってのメリットについてAWSの川端氏はこう話す。「フルマネージドゆえに、ディスクを何本用意するかといった“段取り”の部分からユーザーは開放されます。それに加え、ONTAPのCLI(コマンドラインインタフェース)をそのままAWS上で使えるのは魅力に映るのではないでしょうか。オンプレミスで慣れてきたユーザーであれば、何ら違和感なくCLIで簡単に設定できます。オンプレミスとクラウドで同じ操作性が得られ、運用スキルをそのまま活かせるメリットは多大ですね」。

一般的に、マネージドサービスの場合はその内側のアーキテクチャは隠れているケースが多い。難しいことはできないけれど簡単に使えることを前面に打ち出しており、誤解を恐れずに言えば「ユーザーは触らなくていい」というスタンスを貫いている。ここでネットワールドの福住氏は「Amazon FSx for NetApp ONTAPは、CLIを使わせてくれるのが大きな特長。CLIが使えると何となく“中身”が分かるものです。AWSが言っているこの機能は、裏側ではNetAppのこの機能を使っているんじゃないかな…などと想像がつく。例えばインライン重複排除が使えることが、CLIからも確認できます」。

 

根強いGUIのニーズに応えるNetApp Cloud Manager

もっとも、GUIへのニーズが根強いのも事実だ。例えば、ユーザーが今のボリュームの使用率を知りたい時、今まではONTAPのSystem Managerを見ればよかった。だが現状で、Amazon FSx for NetApp ONTAPでSystem Managerは使えない。川端氏は「GUIは設定を簡素化するためだけのものではなく、監視データに基づいてシステムを可視化する用途でも重要な役割を果たします」とし、次のように続けた。「GrafanaとHarvestという2つのオープンソースソフトを使って、GUIでシステムの実情を把握するオプションを用意しており、ユーザーガイドに詳細が解説されています」。

ここにおけるネットアップからのオファリングが「NetApp Cloud Manager」だ。オンプレミス環境とクラウド環境を一元管理するためのサービスである。Amazon FSx for NetApp ONTAPと連携させるには、NetApp Cloud Manager Connectorと呼ぶAmazon EC2インスタンスを立てる必要がある。

ユーザーにとっては、例えばオンプレミスからAmazon FSx for NetApp ONTAPへのSnapMirrorをGUIで設定できる点がメリットとなる。画面上でのドラッグ&ドロップするだけでオンプレミスのデータを転送できる手軽さは、従来から定評のあるSDSのCloud Volumes ONTAPにSnapMirrorするのと極めて近い。

また、NetApp Cloud Managerを使えば、NetAppのクラウド階層化機能「FabricPool」のような階層化の機能も使えるのも魅力的だ。データがキャパシティ階層にどれだけあって、パフォーマンス階層にどれだけあるのか。EBSとS3など、保存先ストレージの利用状況も把握できる。「すでにONTAPに慣れたユーザーであればAWSのユーザーガイドを読み込むことなく、適切な使い方ができるはず」とは福住氏の弁だ。なお、NetApp Cloud Manager Connectorのインスタンスを使えば、SMB/CIFSボリュームの作成などもNetApp Cloud Managerからできる。

協業のシナジー効果を市場に訴求していく

NetApp Cloud Managerを実際に操作してみたという川端氏は、「AWSのアカウントを入れると、Amazon S3の情報などもGUIを介して確認できます。Cloud Syncという機能においては、ウィザードに従うだけでONTAPからAmazon S3にデータを動かせるのでとても便利だしポテンシャルがあると思いました」と率直な感想を語る。

AWSの各種のサービスはAmazon S3を中核に据えたものが多く、S3にデータがあればアナリティクスなど様々な展開が考えられる。「まずはNetAppストレージ上でデータを作っておき、必要に応じてS3にデータを移動させて分析などに活用する。そんな“応用編”の価値を一緒に訴求していきたいですね」と川端氏はパネラーに呼びかけ、セッションを締め括った。

◇ ◇ ◇

イベントでは、他にも様々なテーマを据えた数々のセッションが繰り広げられた。全体を通しての印象は、次代のITインフラの要であるストレージの“あるべき姿”を、クラウドの特性を活かしながら実に「鮮やかに」具現化しているということ。これからもメジャープレーヤーと協調しながら、サービスの幅も深さも究めていくはずだ。

デジタルの級数的な進化と普及を追い風に受けるために、ユーザー企業もまた貪欲に情報を収集しつつ、最新動向にキャッチアップしていく必要があるだろう。ネットワールドもネットアップも、その力強い伴走者になってくれるはずだ。

※本レポートに記載の内容は2021年11月19日時点の情報となっており、現在の情報と一部異なる場合がございます。


●お問い合わせ先

株式会社ネットワールド

netapp-info@networld.co.jp

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