サイバネットシステムは2022年1月19日、ビッグデータ可視化ツール「BIGDAT@Analysis」を発表した。実験データや工場の機器ログなどが出力する各種のビッグデータを、高度な専門知識がないユーザーでも、簡単な操作で可視化・分析できるとしている。同社が自社開発したツールであり、同年1月1日から販売している。
BIGDAT@Analysisは、実験データや工場の機器ログなどが出力する各種のビッグデータを可視化・分析するためのソフトウェアである(図1)。高度な専門知識を持たないユーザーでも、簡単な操作で可視化できるとしている。データの全体構造を俯瞰可能なため、工場設備の予兆保全などの効率が上がるとしている。
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開発の背景として同社は、IoTデータの監視による工場設備の稼働監視や予兆保全の動きが広まる一方で、IoTデータが多変量なビッグデータであることから、従来のツールでは分析が難しいことを挙げる。「監視データを何にどう活用したらよいか分からない」、「データ活用のための統計解析や多変量解析といった専門知識を持つ人材やノウハウが不足している」などの課題があるという。
BIGDAT@Analysisは、多次元のCSVデータをそのまま読み込ませるだけで、データの類似性を元に、マップを作成する。マップの形状によって、分析対象のデータの性質・構造が視覚的に把握できる(図2)。生産設備や工場ラインの現場担当者自身で、データ全体を俯瞰し、製造プロセスの不良要因の解明、対策立案などの対策を取れるようになる。
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多変量データの寄与度も可視化する(図3)。IoT機器で集積するデータは、膨大な特性(変数)があるため、仮設を立てながら目的に合わせた手法を選択して分析する必要がある。BIGDAT@Analysisを使うと、多変量のデータにおいても、ターゲットとなるデータとそれ以外のデータの差分を表示し、差の大きい物から順番に表示する。
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データの特性に合わせたマップ化手法を選べる。まず、複数のマップ化手法でビッグデータを1度に可視化し、この結果を見てから、データの特性に合わせた適切な手法を選べる。マップ化手法に合わせてデータを加工する必要がないので、分析時間を短縮できる。
2022年後期に予定しているバージョンアップでは、前処理が必要な個所および修正案をワンクリックで表示し、修正の実行まで行える機能を追加する予定である。背景として、「集めたデータに欠損がある場合、どのように修正してよいか分からない」という声がある。また、「データの寄与度を数式で表したい」という要望に応えるため、選択領域のデータごとに複数の手法を用いて回帰分析を実行する機能を追加する予定である。