[市場動向]

富士通と帝国データバンク、国内初となる「日本版eシール」の実装に向けた実証実験 

国内にとどまらず、欧州規格との連携も視野に

2022年4月4日(月)神 幸葉(IT Leaders編集部)

富士通と帝国データバンクは2022年3月31日、国内初となる「日本版eシール」の社会実装に向けた実証実験を同年4月1日から開始することを発表した。同実験では、両社のノウハウを用いて日本版eシールを付与するトラストプラットフォームを構築し、実業務で想定されるデジタル文書の受け渡し時に同制度を用いて、その有用性を検証するという。

進む文書のデジタル化と真正性証明の必要性

 富士通と帝国データバンク(TDB)は、国内初となる、デジタル文書の発行元企業の真正性を証明する制度・技術「日本版eシール」の社会実装に向けた実証実験を2022年4月1日から開始した。実験期間は約6カ月間を予定している。

 eシール(Electronic Seal)は、組織が電子文書の発行元であることの真正性を電子的に証明するための制度・技術。暗号化などを用いて、組織が発行した電子文書が改竄されていないことを証明する。今回両社が発表したのはその日本版となるもの。

 現在、デジタル文書の真正性証明としては、電子署名やPDFパスワードなどによる、文書作成者の証明や文書自体の改竄防止が一般的である。しかし、「これらの方式では文書作成者個人の証明や改竄防止は可能だが、組織による真正性証明ができないという課題がある」と両社は実証実験に至った背景を説明している。

 加えて、コロナ禍で文書のデジタル化の必要性が急速に高まりを見せたことが後押しとなり、迅速な社会実装に向けて、両社による実証実験が決定したという。実証を行う日本版eシールは、総務省が発表した「eシールに係る指針」(図1)で定義されているレベル1もしくは2相当を想定する。

図1:eシールのレベルと関係性(出典:総務省)
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 両社は、実証実験を通じて「日本版eシール」の方式検討、課題の抽出を行い、社会実装を目指す。全体のスキームを定めたうえで、取り組みのスケジュールを示している(図2・3)。

図2:実証実験のイメージ(出典:富士通)
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図3:実証実験のスケジュール(出典:富士通)
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●Next:日本版eシールの普及に加え、欧州規格との連携も

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