順天堂大学と日本IBMは2022年4月13日、「メディカル・メタバース共同研究講座」を設置し、産学連携の取り組みを開始したと発表した。メタバース技術の活用による、時間と距離を超えた新たな医療サービスの研究・開発に取り組む。順天堂医院の実物をオンライン空間で模した「順天堂バーチャルホスピタル」を起点にした新サービスの開発・提供を目指す。
順天堂大学と日本IBMは、「メディカル・メタバース共同研究講座」(代表者:同大学医学部長・研究科長 服部信孝氏)を設置し、産学連携の取り組みを開始した。メタバース技術の活用による、時間と距離を超えた新たな医療サービスの研究・開発に取り組む。順天堂医院の実物をオンライン空間で模した「順天堂バーチャルホスピタル」を起点にした新サービスの開発・提供を目指す(図1)。
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現在、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術進化を受けて、臨床現場でのVR/AR活用に向けた研究が進んでいる。また、3次元の仮想空間においてアバター(操作者本人や他の利用者に紐付けられたキャラクターの画像やアイコン、3Dモデルなど)を介して活動する「メタバース(3次元の仮想空間)」と呼ぶ概念にも注目が集まっている。
今回の共同研究講座では、メタバースを使った医療サービスを構築し、臨床現場におけるメタバースの有効性を検証する。患者や家族に対し、よりよい医療の提供を目指す。具体的な取り組みの内容として、短期実施テーマと中長期実施テーマに分け、各取り組みを並行して検討する。
まず、短期実施テーマとして、順天堂医院を模した順天堂バーチャルホスピタルをメタバース空間に構築する。これにより、患者や家族が、来院前にバーチャルで病院を体験できる環境を検討する。ユーザーは、アバターとしてバーチャルホスピタルを訪問し、医療従事者や患者、家族などと交流できる。
外出が困難な入院患者が病院の外の仮想空間で家族や友人と交流可能な「コミュニティ広場」も構想している。ほかにも、説明が複雑になりがちな治療をバーチャルホスピタルで疑似体験する使い方を構想している。これにより、治療に対する患者の理解を深める効果や、不安や心配を軽減する効果を検証する。
一方、中長期実施テーマとしては、メタバース空間での活動を通じ、メンタルヘルスなどの疾患の改善が図れるかを学術的に検証する。
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