ソニーネットワークコミュニケーションズは2022年5月11日、AI予測分析ツール「Prediction One」に、分析用データを整備する「データ準備機能」を追加した。AIモデルを作成するために必要なデータの前処理をノーコードで行える。同日、同機能を含んだ新プラン「スタンダードプラスプラン」(デスクトップ版)の提供を開始した。スタンダードプランの価格(税別)は年額25万8000円。
ソニーネットワークコミュニケーションズの「Prediction One」は、マシンラーニング(機械学習)の予測モデルをワンクリックで作成可能な予測分析ソフトウェアである。データの前処理や学習、予測モデルの生成までを自動化する。Windows環境でスタンドアローンで動作する「デスクトップ版」と、SaaS「クラウドプラン」がある(関連記事:ソニー、AI予測分析サービス「Prediction One」にAPIを利用可能な上位プラン)。
今回新たに、デスクトップ版において、既存の「スタンダードプラン」の上位プラン「スタンダードプラスプラン」を追加した(表1)。特徴は、分析用データを整備する「データ準備機能」を追加したことである。AIモデルを作成するために必要な前処理(プレパレーション)として、データの変換、統合、集計をノーコードで行える(図1)。
機能強化の背景として同社は、蓄積したデータをAI向けの学習用データとして活用するには、事前に結合や集計、欠損対応、変換などが必要になるケースが多いことを挙げる。「データ分析者は、データの加工、成形といった前処理に大半の時間を費やしている。また、データ加工作業にはプログラミングやExcel、専用ツールなどを使うが、専門家ではない担当者には負担である」(同社)。
今回追加したデータ準備機能では、あらかじめ用意したテンプレートに沿ってデータを準備できる「ユースケース別ガイド」と、データ加工処理を自由に組み合わせられる「カスタムモード」を用意した。
ユースケース別ガイドでは、ユースケースごとに決まったフォーマットに従ってデータを準備する(画面1)。「来店数を予測して仕入れ量を管理したいケース」、「サブスクリプションサービスを解約する可能性が高い顧客を検知したいケース」、「需要を予測したいケース」など、各種のユースケースを標準で搭載する。これらのテンプレートに沿って操作するだけで、初心者でもデータを準備可能としている。
カスタムモードでは、データの加工処理を自由に組み合わせられる(画面2)。結合、集計、欠損対応、変換など、AI向けのデータ準備で必要となる処理を、自社のデータに合わせて実行できる。一連の加工処理を保存しておくことで、データの準備作業を自動化可能である。
なお、Prediction Oneの特徴は、簡単に使えること。AIやプログラミングに関する専門知識がなくても、クリックしていくだけで予測分析が可能。また、予測の精度を高める工夫として、適したモデルを選択する技術や、データを前処理する技術を搭載している。さらに、予測結果とともに、予測理由を表示する。
プラン | スタンダードプラン | スタンダードプラスプラン | コマンドラインプラン |
---|---|---|---|
予測分析機能 | 〇 | 〇 | 〇 |
データ準備機能 | × | 〇 | × |
GUI(グラフィック表示) | 〇 | 〇 | × |
コマンドライン上の実行 | × | × | 〇 |
テクニカルサポート | 〇 | 〇 | 〇 |
価格(税別) | 19万8000円 | 25万8000円 | 98万円 |
アカウント数 | 1 | 1 | 1 |
対象OS | Windows 8.1/10/11(いずれも64bit版)、Windows Server 2019 | ||
推奨スペック | CPU:3.0GHz以上、メモリー:8GB以上、ハードディスク空き容量:50GB以上 |