NECは2022年6月27日、NTTドコモと共同で自然災害における消防救助活動支援の実証実験を行ったと発表した。ドローンから撮影した映像をエッジコンピューティング環境「MEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)」上の映像解析技術「FieldAnalyst for Vehicles」で解析する仕組みを構築し、被災エリアから要救助者を迅速に検知することに成功している。
近年多発する自然災害への対策として、NECは、NTTドコモの通信技術を活用した新たな救助活動支援ソリューションを開発した。NECの移動機向け映像解析エンジン「FieldAnalyst for Vehicles」と、NTTドコモの5G通信、MEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)環境を組み合わせている。
MECは、ローカル5G端末やWi-Fi機器、IoT機器などからの大量のアクセスを処理するエッジサーバー。一方で大容量のデータを解析するシステムをオンプレミスで動作させるという処理の切り分けで、現場からのレスポンス遅延や通信量の増大などの課題を解決するとしている。
今回の実証実験で用いた技術・製品は次のとおりである。
●FieldAnalyst for Vehicles:NECが開発したデータ処理軽量化技術とアルゴリズムを備えた映像解析エンジン。撮影した映像から、車両の移動や周辺の物体などの自動認識、車両の特徴や移動経路などを分析する。同実験では、映像に対して要救助者の検知を行う新たなユースケースとして活用した。
●Skydio 2:米Skydioが開発し、NTTドコモが提供する自律飛行型ドローン(写真1)。AIによる自律飛行技術、障害物回避技術を備え、従来飛行が難しかった場所でも飛行できる。4K動画と1200万画素画像の撮影に対応し、飛行時間は最大23分。
●ドコモオープンイノベーションクラウド:NTTドコモのIaaSで、同実験ではMECの稼働基盤として活用。低遅延性とセキュアなネットワーク環境を特徴としている(図1、関連記事:NTTドコモ、同社通信網内に構築したIaaS「ドコモオープンイノベーションクラウド」を発表)。
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実証実験は、以下のステップで実施された(図2)。
(1)被災した住宅地を再現したフィールドにエキストラ人員(5~10人)を配備し、ドローンでエリア全体を俯瞰した映像を撮影する。
(2)撮影した映像を、5Gを通じてMEC上に構築したFieldAnalyst for Vehicles で解析し、要救助者を検知し、マーキングした状態の映像をフィードバックする(図3)。
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NECは、同実証実験から得た知見を基に、「生体認証や映像解析を含むAI、IoT関連の先端技術を活用した都市実現を支えるNEC Safer Citiesの実現に向け、救助活動支援ソリューションやサービス開発を強化する」としている。