[市場動向]
クボタとアクセンチュア、DX推進の合弁会社「クボタデータグラウンド」を設立
2022年9月1日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)
農業機械大手メーカーのクボタ(本社:大阪市浪速区)とアクセンチュアは2022年8月30日、合弁会社、株式会社クボタデータグラウンド(本社:大阪市浪速区)の設立を発表し、同年9月1日より事業を開始した。出資比率はクボタが85%、アクセンチュアが15%。新会社はクボタグループの戦略的子会社として、業務系/技術系で合計1000人のDX人材育成計画を含め、グループ全体の事業モデルや事業運営基盤のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。
クボタとアクセンチュアが合弁で、クボタグループのDXを推進する戦略機能子会社、クボタデータグラウンドを設立した(表1)。同グループの食料・水・環境分野における地球規模の社会課題の解決をデジタルの面から支援することを目的に、主な事業内容として以下の4つを挙げている。
サステナビリティソリューションの創出
食料・水・環境分野におけるデータの収集・分析・活用に取り組み、各分野のビジネスプロセスを効率化し、サステナブルなソリューションを構築する。
食料分野では、IoT、AI、クラウド技術により、作物や農地のデータを活用して農業全体の生産性を向上する。フードバリューチェーン全体を見据え、食料にまつわる諸課題の解決、新たな付加価値の創出を目指す。水分野では、都市インフラの災害に対するレジリエンス向上や水インフラの延命につながるソリューション創出に取り組む。環境分野では、さまざまな廃棄物を回収・選別し、電力や肥料、有価金属の再生産へと循環させる資源回収ソリューションを構築する。
ビジネストランスフォーメーションの推進
デジタル技術を活用してクボタの既存サービスの強化や品質向上、安全に働く環境づくりなど、事業の効率化・高度化を推進する。
取り組みの中で、工場内の作業機器や車両に取り付けたRFIDタグやセンサーが収集するIoTデータ、作業員のスマートフォン/モバイルアプリなどを活用し、作業効率の最適化や事故防止の仕組みを取り入れたスマートファクトリー化を進める。また、製品の設計・開発・製造プロセスをデジタルツインで構築。グローバルレベルでデータに基づく意思決定の迅速化、業務の自動化・省力化、標準プロセスの整備を加速させる。
デジタル人材の創出
2024年12月末までに、業務のDXを推進する「業務系DX人財」と高い専門性を持つ「技術系DX人財」を育成することを目指す。業務系DX人材の教育では、社内外の事例を学ぶワークショップなど実践的なカリキュラムを想定する。また、経営幹部を対象にしたデジタルワークショップ、全社員向けの教育プログラムなどを実施し、全社的なDX人材の育成を進める。
クラウドベースのDXプラットフォーム構築
グローバル事業の拡大や、データドリブン経営の実現に向けて、センサーから収集した収穫・生育情報、気象情報など、さまざまなデータやノウハウを蓄積・共有するクラウドベースのDXプラットフォームをパブリッククラウドの「Microsoft Azure」上に構築する。また、グローバル66拠点のITガバナンス強化、グローバル全体でのセキュリティリスク体制整備や海外セキュリティ担当者のトレーニング実施などによって、グループ全体でセキュリティの高度化を目指す。
クボタデータグラウンドの設立について、クボタ 代表取締役社長の北尾裕一氏は次のようにコメントしている。
「近年は気候変動や食料・水不足問題など、グローバルレベルでビジネスを取り巻く課題が複雑化・多様化し、解決にはデジタル技術を活用が不可欠である。今後、クボタデータグラウンドを基軸として、ソリューション開発と事業基盤の強靭化を加速させ、事業成長と社会課題解決、持続的な企業価値向上に取り組んでいく」
社名 | 株式会社クボタデータグラウンド |
本社所在地 | 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号 |
設立日/事業開始日 | 2022年8月30日/同年9月1日 |
事業内容 | ●デジタル戦略の立案・企画・実行 ●情報システムの企画・設計・開発・運用・販売・管理・保守 ●ソフトウェア、アプリケーション、インフラストラクチャなどの設計・開発・運用 ●人材育成および能力開発のための教育、研修の受託およびこれらに関するコンサルティング、など |
出資構成 | クボタ 85%、アクセンチュア 15% |
従業員数 | 約50人 |
表1:クボタデータグラウンドの会社概要