[新製品・サービス]
TDSL、組み合わせ最適化演算サービス「SQBM+」をAWS Marketplaceで提供開始
2023年2月10日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)
東芝デジタルソリューションズ(TDSL)は2023年2月10日、組み合わせ最適化演算サービス「SQBM+」の提供形態を拡充し、Amazon Web Services(AWS)上で利用可能なクラウドサービス「SQBM+ for AWS」を発表した。AWS Marketplaceで提供する。事業向けの標準プラン「Business Standard」の価格は定額制が月額9000ドルで、従量課金制が1時間あたり1800ドル。別途、実行環境としてAmazon EC2の費用がかかる。
東芝デジタルソリューションズの「SQBM+」は、量子コンピューティングに着想を得たイジングマシンソフトウェア「シミュレーテッド分岐マシン」(SBM)を核とした、組み合わせ最適化演算サービスである(関連記事:TDSL、量子イジング型の組み合わせ最適化問題演算サービス「SQBM+」を提供)。
シミュレーテッド分岐マシンは、最大10万変数のイジング問題を解くイジングソルバー(解法)により、既存の計算機を使って複雑で大規模な問題に対し、高精度な近似解(良解)を短時間で得る。アルゴリズムは、高速な「弾道的シミュレーテッド分岐アルゴリズム(bSB)」と、高精度な「離散的シミュレーテッド分岐アルゴリズム(dSB)を自動で使い分ける。
同社は、SQBM+の主な用途として、金融取引の最適化、産業用ロボットの動作の最適化、移動経路や送電経路の最適化、創薬のための分子設計などを挙げている。社会や産業における課題の多くは、これらのように、膨大な選択肢から最適なものを選び出す組み合わせ最適化に帰着するとしている。
組み合わせ最適化は、問題の規模が大きくなるにつれて組み合わせパターンの数が指数関数的に増大する。このため、既存の計算機で高速に解くことは困難である。SQBM+は、量子着想技術により、既存の計算機を使用しながらも複雑で大規模な問題について高精度な近似解(良解)を短時間で得られるとしている。
SQBM+は、2019年7月にPoC(概念検証)版をAmazon Web Services(AWS)のマーケットプレイスで公開。2022年6月には、Microsoft Azure上で動作するサービス製品「SQBM+ Cloud on Azure Quantum」を提供した。今回、AWS上で動作するサービス製品「SQBM+ for AWS」を追加した形である(関連記事:TDSL、量子着想技術による組み合わせ最適化「SQBM+」をAzureで提供)。