[調査・レポート]

サプライチェーンへのAI/自動化の適用が加速、サステナビリティへの投資を成長につなげる先進企業─IBM

グローバル調査レポート「経営層スタディ・シリーズ:CSCO スタディ 2022」

2023年2月13日(月)神 幸葉(IT Leaders編集部)

日本IBMは2023年1月24日、米IBMが実施したサプライチェーン関連のグローバル調査レポート「経営層スタディ・シリーズ:CSCO スタディ 2022」の日本語版を公開した。調査から、世界中の先進企業において、CSCO(最高サプライチェーン責任者)および相当職の先導で自動化やAI/インテリジェントワークフロー、エコシステムなどへの投資を拡大し、サプライチェーンの再構築に取り組む動きが進んでいることが判明した。日本IBMは同日の説明会で、世界と日本のCSSOの見解や取り組みの違いを含めて同レポートのハイライトを紹介した。

 「経営層スタディ・シリーズ:CSCO スタディ 2022(Global C-suite Series 26th Edition The CSCO Study)」は、米IBMのシンクタンクであるIBM Institute for Business Value(IBV)によるグローバル調査レポートである。新型コロナウイルスの世界的流行やインフレ、気候変動、地政学的事象がもたらすサプライチェーンの課題と、それらに対するCSCOの見解や施策を調査したものだ。世界35カ国・地域で24業界1500人のCSCO(最高サプライチェーン責任者)およびCOO(最高執行責任者)を対象に、2022年4~6月の期間で調査を実施し、日本からは75人が回答している。

 日本IBMのIBMコンサルティング事業本部でビジネス・トランスフォーメーション・サービス ファイナンス・サプライチェーン改革サービス シニア・パートナー SCM・サステナビリティー担当を務める鈴村敏央氏(写真1)は、調査結果から浮かび上がるトレンドとして以下の3点を挙げた。

●サプライチェーンに影響を与える要因として、マクロ経済とサステナビリティが重みを増している。競争優位に資する経営課題として、CSCOの戦略的役割が高まっている。

●世界のCSCOはAI/自動化の技術を積極的に導入している。エコシステムとの相互接続性を確保したサステナブルな業務運営や予測可能性の強化を指向している。

●サプライチェーンにおける競争優位を獲得するために、データドリブン型の統合、自動化されたワークフローを構築し、インサイトを実践へつなげる動きが進んでいる。

写真1:日本IBM IBMコンサルティング事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス ファイナンス・サプライチェーン改革サービス シニア・パートナー SCM・サステナビリティー担当の鈴村敏央氏

マクロ経済とサステナビリティが自社の経営に大きく影響

 調査では、世界の社会やビジネスが著しく変化する中、今後2、3年で自社の経営に大きな影響を与える外部要因を尋ねている。結果は、グローバルではマクロ経済要因(52%)とサステナビリティ(48%)が2019年実施の世界COO調査と比較して大きく伸長した。自動化に直結するテクノロジー(世界47%)は、世界COO調査との比較ではランクダウンした形だ(図1)。

図1:企業に影響を及ぼすと思われる外部要因(出典:日本IBM)
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サステナビリティへの投資は成長につながる

 世界のCSCOの48%は、サプライチェーンの運営管理にとどまらず、昨今のビジネス環境変化をとらえた新たな戦略や将来ビジョンの策定を含めた「サプライチェーンの変革」が最も重要な職責になると回答している。

 また、今後2~3年間で最も課題となることは何かを尋ねたところ、「サプライチェーンの混乱」に「テクノロジーインフラストラクチャー」「サステナビリティ」が上位を占めた。「コロナ禍でサプライチェーンの供給が寸断し、物流も滞った。製造業が強い日本においてはコロナ禍をきっかけに、サプライチェーンを重要課題に挙げる企業が増えている」(鈴村氏)という。

 今後3年間を見据えたサプライチェーン変革のテーマについては、世界、日本とも多くがサステナビリティ、インテリジェントワークフロー、エコシステム、俊敏なパートナー協働を挙げた。IBMコンサルティング事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス ファイナンス・サプライチェーン改革サービス パートナーでサプライチェーン・マネジメント担当の志田光洋氏(写真2)は、「日本は製造業の割合が高く、環境負荷や脱炭素に対しての意識の強さが見てとれる」と説明。また、日本に関しては顧客接点として、サプライチェーンのラストワンマイルを重視する傾向もあるという。

写真2:IBMコンサルティング事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス ファイナンス・サプライチェーン改革サービス パートナーでサプライチェーン・マネジメント担当の志田光洋氏

 サステナビリティを最優先するという回答は、世界では52%、日本では57%に上った。また、世界のCSCOの50%、日本のCSCOの59%が、「サステナビリティへの投資によってビジネスの成長が加速する」と回答。サステナビリティを義務や課題としてではなく、ビジネス成長を促すものとして捉えていることが分かる(図2)。

図2:サステナビリティ投資はビジネス成長を加速させるか(出典:日本IBM)
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●Next:“イノベーター企業”が他社より進んでいる施策は?

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