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OKI、AI配送計画最適化「LocoMoses」を2023年5月より提供、物流会社ロンコ・ジャパンと協業

配送業の属人化解消、配送経費/CO2排出量を削減

2023年3月30日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)

沖電気工業(OKI)は2023年3月27日、トラックへの積載量や配送ルートを自動立案するSaaS「LocoMoses(ロコモーゼ)」の販売を開始した。ロンコ・ジャパン(本社:大阪府大阪市)の配車システム「ラーク」に組み込み、5月1日からサービス提供を開始する。燃料費や高速道路利用のコストが最小になるような配送配送計画を立案し、ベテランの担当者が作成したものに比べコストを8%削減するという。

2社協業で取り組む物流業界の課題解決

 物流業界は人手不足など問題に直面している。その1つが「物流2024年問題」。働き方改革関連法の改正によって2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働の上限規制が強化され、1人あたりの走行距離が短くるなどして長距離運搬などに影響が起こりうる問題だ。

 ほかにも燃料費の高騰やドライバー不足、CO2排出量抑制といった問題もあり、より効率の高い配送計画の立案が重要になっている。しかし、物流会社のロンコ・ジャパン代表取締役社長の福西康之氏(写真1)によると「配送計画の立案はベテラン担当者に依存し、高度化には限界がある」という。

写真1:ロンコ・ジャパン 代表取締役社長の福西康之氏

 沖電気工業(OKI)は、これらの課題に対応すべく、2020年よりロンコ・ジャパンとの共同プロジェクトを開始。ベテラン担当者のスキルやノウハウを取り入れつつ、配送コストを最小化する「コスト最小型ルート配送最適化AI」を開発した。

 このAIは配送先ごとに1台のトラックを割り当てるのではなく、複数のトラックで複数回の納品を行う「分割配送」方式(図1)を基本とする。一般的な配送に比べ、分割配送は配送パターンが爆発的に増加するが、OKI独自の工夫でパターンを絞り、最適な配送パターン算出時間を短縮するという。

図1:一般的な配送と分割配送(出典:OKI)
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 トラック積載率を高めた配送や、高速道路利用の判断ルールの設定と指示に加え、渋滞や通行規制、積雪地帯の山間部など配送リスクが高いルートへの配慮などの判断も行う。

 実証実験においては、総走行距離を1日あたり340km削減、年間削減額試算は700万円とすでに効果を検証済みだ(関連記事ロンコ・ジャパン、トラック15台の配送ルートをAIで算出し、年間700万円を削減)。

 OKIは、これらの技術をSaaS型サービス「LocoMoses(ロコモーゼ)」として今回販売を開始する。まず、2023年5月1日より、ロンコ・ジャパンが販売する配車システム「ラーク」に組み込み、提供を開始。2027年度までに売上2億円を目指す。

 OKI執行役員兼イノベーション責任者の藤原雄彦氏(写真2)は、今回の協業が目指すところを次のように話した。「これまで熟練スタッフに属人化していた配送計画作業の負担をAIによって解消し、走行距離による燃料費や高速道路利用料などの配送経費の削減、CO2排出量の削減に貢献していく。また、今回の事例に留まらずに2社で共創し、2024年問題にAIで挑んでいく」。

写真2:OKI執行役員兼イノベーション責任者 藤原雄彦氏

 「物流業界はデジタルトランスフォーメーションの言葉だけが独り歩きし、DX推進にはほど遠い状態だった。今回のOKIとの協業による店舗配送の最適化を機会に、1つずつ課題の最適化に取り組んでいく」(福西氏)。

 

●Next:OKIが5つの分野で取り組むイノベーション推進活動

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