青果卸売会社の横浜丸中青果(本社:神奈川県横浜市)は、青果物の販売における生産者からの日々の出荷情報のやりとりを電子化した。これまでは電話やファクスを使っており、情報の収集や共有、基幹システムへの入力といった作業に時間がかかっていた。これを改善し、LINEおよびLINE WORKSを使って出荷情報を通知・共有する仕組みを構築した。LINE WORKSを提供したワークスモバイルジャパンが2023年6月19日に発表した。
青果卸売会社の横浜丸中青果は、青果物の販売における生産者からの日々の出荷情報のやりとりを電子化した(図1)。これまでは電話やファクスを使っており、情報の収集や共有、基幹システムへの入力といった作業に時間がかかっていた。これを改善し、LINEおよびLINE WORKSを使って出荷情報を通知・共有する仕組みを構築した。
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生産者との連絡手段は従来、電話、ファクス、メール、SMSなど多岐にわたっていた。このため、情報の収集や、複数の社内担当者に共有する作業が煩雑だった。また、口頭での伝達による言い間違いや聞き違い、ファクスで入手した手書きの伝票が読みづらいといったケースも発生していた。受け取った帳票の内容を事務担当者が基幹システムに手動で入力する工数も発生していた。
同社は今回、生産者とのやりとりを電子化し、業務を効率化するため、農産物の流通に特化した集出荷連絡ツール「nimaru」を導入した。nimaruはLINE/LINE WORKSをインタフェースとして使えることから、LINEを使って出荷情報や梱包資材の発注などの情報を通知可能な仕組みを構築した。
構築したシステムでは、生産者は、当日の出荷情報をLINEのフォーマットに入力して送信する(画面1)。このデータは、横浜丸中青果側の担当者のLINE WORKSへとリアルタイムに通知する。担当者は、LINE WORKS上のnimaruのトークを確認することで、どの生産者が何をどのくらい出荷するかが分かる。「詳細ページへ」のボタンをタップすると、nimaruで受信した詳しい出荷情報を閲覧可能である。
営業担当者は、ボット「nimaru」を介して、早い段階で青果の入荷情報を得ることが可能である。実際に青果が市場に持ち込まれる前に、より有利な条件で買い手を見つけられる。生産者の利益を増やすだけでなく、農産物の売れ残りを減らすフードロス対策にもつながる。
口頭や手書きでのコミュニケーションを電子化したことで、品種や数量などの伝達ミスも減った。また、生産者から受け取った出荷情報は、荷受データとしてnimaruから横浜丸中青果の基幹(販売管理)システムへと取り込む。これまで荷受担当者が日々行っていた紙の帳票の手入力作業の省力化にもつながった。
また、横浜丸中青果は、LINE WORKSの外部トーク機能を使い、社外の関係者と必要に応じて情報を共有している。例えば、給食を提供する会社から注文書を写真(画像)で送信してもらい、必要な青果と数量を確認する。青果の種類ごとに担当者が異なることから、ファクスの受注確認では担当者全員で情報を共有することが困難だったが、LINE WORKS導入後は複数の担当者にトークルームで一斉に周知できるようになった。