[事例ニュース]
マネックス証券、ChatGPTの社内利用を開始、機密情報の送信を防ぎ、チームでチャットを共有
2023年6月27日(火)IT Leaders編集部
マネックスグループは2023年6月26日、子会社であるマネックス証券がChatGPTの社内利用を開始すると発表した。ChatGPTを業務で安全に活用するためのツール「Crew」(マネックスグループ子会社のクラフターが提供)を利用する。Crewの主な特徴は、機密情報などを含んだメッセージの送信を防ぐ機能を備えていることである。
マネックス証券は、ChatGPTの社内利用を開始する。ChatGPTを業務で安全に活用するためのツール「Crew」(マネックスグループ子会社のクラフターが提供)を利用する。
チームのチャット上での会話、説明書類や手順書といった社内文書などを学習することで、繰り返し発生する同等作業や、異動者や採用者のオンボーディングトレーニングを代替して行えるようにする。また、蓄積された組織内のノウハウを元に、チャット上で質問に回答できるようにする(画面1)。
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Crewの主な特徴は、機密情報などを含んだメッセージの送信を防ぐ機能を備えていること。対話型AIのチャット画面では、個人情報などのセンシティブ情報を検知し、非表示にできる(画面2)。フィルタリングするNGワードを追加することにより、企業ごとに独自の秘密情報を追加可能である。
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利用にあたっては、企業メールアドレスで登録可能である。チャット内容は企業のメンバー間でオープンに共有する。システムの知識に明るくない人でも、チャットの内容を参照可能である。
想定する利用シーンとして以下を挙げている。
- 日本語・英語のメールドラフト作成
- 新入社員向けのオンボーディングに関する資料の在処探し、各種手続き、追加質問
- 説明書類や手順書などの社内文書の作成
- 長文書類に関する要約と質問
まずは、マネックス証券の開発本部で社内利用を開始し、マネックス証券全社での利用についても検討を進める予定である。さらに、マネックスグループ子会社のコインチェックや海外子会社であるTradeStationGroupでの導入も検討している。
「ChatGPTなどの生成AIは、業務の効率化を図る強力なツールである一方で、社内情報の管理、データの保護、プロンプト利用の煩雑さといった課題を抱えている。こうした状況の下、企業が生成AIを導入することは現実的ではなかった」(マネックス証券)
マネックス証券は当初、安全性を担保した簡易なサービスを独自に作成することを予定していたという。その後、Crewを調査したところ、機密情報の検知、権限管理、チャット内容の共有、社内書類の管理といった機能群を備えていた。こうした経緯でCrewの導入を決めた。