[調査・レポート]
DX人材育成で実践機会を提供できているのは一般企業で31%、DX先行企業で71%─デロイト トーマツ
2023年7月25日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
デロイト トーマツ コンサルティングは2023年7月25日、国内企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材育成の実態と課題に関する調査結果を発表した。育成の対象になる潜在デジタル人材の割合は働く人の36%を占める。研修の機会は多いが実践の場が少ないこともわかった。
デロイト トーマツ コンサルティングは、国内企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材育成の実態と課題に関する調査結果を発表した。育成の対象になる潜在デジタル人材の割合は働く人の36%を占める。研修の機会は多いが実践の場が少ないこともわかった。
調査は、国内252社を対象に、DXの取り組み、人材施策・育成などについて聞いた。DX銘柄企業(23社)とDX認定企業(26社)の計49社を「DX先行企業」、ほかの203社を「一般企業」として分析した。調査形式はWebアンケートで、2023年5月8日~同年5月26日にかけて実施した。
企業に加えて、労働者個人に対しても調査を実施した。デジタル人材(4103人)と非デジタル人材(2284人)から回答を得て、デジタル業務への関与意向やリスキリングの意向・課題感などを探った。個人向けの調査はWebアンケートで、2023年5月12日~同年5月14日にかけて実施した。
一般企業は研修の機会は多いが実践の場が少ない
育成・研修施策の実施率は、一般企業で半数近くの46%、DX先行企業で87%と、いずれも高い割合だった(図1)。
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一方、育成・研修の前提となる要素はいずれも低めだった。例えば、「経営ビジョン」は、一般企業が26%、DX先行企業が66%だった。「人材ニーズの定義」は、一般企業が26%、DX先行企業が50%だった。「育成計画」は、一般企業が25%、DX先行企業が68%だった。
また、学びを活かす「実践機会の提供」は、一般企業が31%、DX先行企業が71%だった。「一般企業では、eラーニング受講環境の提供など、比較的始めやすい「学ぶ場」の提供から進めている傾向がうかがえる」(同社)。
一方、DX先行企業においても、学びを促進する「コミュニケーション」は18%、評価や報酬に紐づく「人事制度」の整備は8%にとどまる。学ぶ「動機づけ」につながる施策まで着手できていない企業が大半である。
実践機会を提供済みのDX先行企業も実践機会の提供に課題
デジタル人材育成の施策において課題を感じている項目も調べた(図2)。
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一般企業が課題を感じている項目は、「経営ビジョン」(45%)、「育成計画」(57%)などである。「育成・研修」よりも手前の施策に課題を感じる割合が高い。
一方、DX先行企業においては、「実践機会の提供」(53%)や「人事制度」(47%)など、「育成・研修」後の施策についての課題認識が高い。特に、「実践機会の提供」は実施率が71%と高い一方で、依然として課題を抱えている(図3)。「育成・研修を実施している企業においては、一般企業、DX先行企業ともに、制度導入をしても、内容にはまだ改善の余地があると考えている割合が高い」(同社)。
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DXの取り組みの多くは業務効率化にとどまる
DXへの取り組み状況も調べた。全体の9割以上の企業がDXを検討・推進しているが、多くは業務効率化にとどまっている(図4)。
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一方で、DX先行企業は、「新規製品・サービスの創出」(92%)、「既存製品・サービスの付加価値化」(76%)といった付加価値向上の目的に加えて、「企業文化・組織マインドの根本的な変革」といった従業員を対象とした変革にも76%が取り組んでおり、一般企業との差異が表れている。「一般企業では、よりデジタル人材の必要性が読み取れる」(同社)。
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