[調査・レポート]

コンタクトセンターの49%がAIを導入済みも、成果の創出に苦戦─デロイト トーマツ調査

2023年8月8日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

デロイト トーマツ グループは2023年8月8日、企業のコンタクトセンターを対象とした年次調査「2023 グローバルコンタクトセンターサーベイ」を公開した。日本の回答企業は、コンタクトセンターにおける最重要戦略として「顧客体験(CX)向上」(63%)を挙げている。投資重要領域は「セルフサービスの拡大」(38%)が最も高い一方、オペレーター人材への投資は2%と、海外(11%)と比べて低い。また、約半数(49%)がコンタクトセンターにAIを導入済みだが、その主要用途であるチャットボット/ボイスボットについて、約半数(51%)が「十分な効果を発揮できていない」と回答しており、成果の創出に苦戦している。

 デロイト トーマツ グループは、コンタクトセンターを対象とした年次調査「2023 グローバルコンタクトセンターサーベイ」を公開した。調査は2022年11月から2023年2月にかけて実施した。

図1:今後2年間のコンタクトセンターの重要戦略(出典:デロイト トーマツ グループ)

 図1は、今後2年間のコンタクトセンターの重要戦略を聞いた結果である。日本企業が最も重視していることは「顧客体験(CX)向上」(63%)で、2位以下を大きく離している。2位は「収益貢献・クロスセル/アップセル」(17%)、3位は「業務効率向上・コスト削減」(15%)、4位は「従業員体験(EX)向上」(5%)だった。

図2:現在投資強化中・投資予定の重要領域(出典:デロイト トーマツ グループ)
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 一方で、現在投資強化中・投資予定の重要領域の上位を、「セルフサービスの拡大」(38%)や「コンタクトセンターのインフラ刷新」(31%)、「提供チャネルの拡大/見直し」(14%)が占めた。デロイト トーマツ グループは「傾向として自己解決率向上に寄与する施策が目立つ」としている。(図2)。

 海外企業では、日本企業の上位2項目(「コンタクトセンターのインフラ刷新」と「セルフサービスの拡大」)で同様の投資傾向が見られるものの、別軸で「オペレータ支援機能の導入」(11%)への投資など、人材施策でCXを向上させるアプローチに取り組んでいる。「CXの高度化にはスキルの高いオペレーターが必要」(同社)と捉えている。

 受付チャネルの構成については、グローバル全体の傾向として、マルチチャネル化、とりわけ電話からデジタルチャネルへのシフトが進む。特に、コロナ禍を経てセルフサービスの導入が拡大した(図3)。

図3:受付チャネル構成比(出典:デロイト トーマツ グループ)
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 前回調査(2021年)と比べると、問い合わせ全体に占める電話チャネルの割合は日本で58%(前回比マイナス20ポイント)、海外で57%(前回比マイナス5ポイント)と、いずれも60%弱の水準まで低下した。「2年後に向けて引き続きデジタルチャネルへのシフトが進むが、海外では電話チャネルの縮小が減速している。新たな手立てを講じなければ日本でも電話比率が下げ止まるリスクがある」(同社)。

 図4は、新たな技術の導入状況である。コンタクトセンターにAIを導入済みの日本企業の割合は、2年前の28%から約半数(49%)へと大きく伸びた。しかし、AIの主要用途であるチャットボット/ボイスボットについて、約半数(51%)が「十分な効果を発揮できていない」と回答し、成果の創出に苦戦していることがうかがえる。

図4:テクノロジーの導入状況(出典:デロイト トーマツ グループ)
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