テレワークの一般化や法制度への対応から電子契約/電子署名が本格的な普及の途についている。主要ベンダーの1社、米ドキュサイン(DocuSign)日本法人であるドキュサイン・ジャパンは2023年8月より契約ライフサイクル管理システム「DocuSign CLM」の提供を開始した。同システムは、電子契約書の作成から分析までのプロセスを一元管理することで、マニュアル作業の自動化、複雑なワークフローの統合、不必要なリスク排除など、契約プロセスで発生しがちな問題に対処する。
テレワークの定着が追い風になった
2003年に米国で設立された電子契約/電子署名ソフトウェアベンダーのドキュサイン。グローバルで180カ国、100万社以上、1億人以上のユーザーが利用しているという。2015年に日本法人を設立し、業界特化のパートナーとの提携などを進めて国内の電子署名の拡大に努めてきた。
電子契約/電子署名にとって追い風になったのは2020年以降のコロナ禍で、国内でも急速にテレワークの導入と定着が進んだこと。同社の「電子署名レポート2023」によると、63%の企業が電子署名を導入済みまたは検討段階にあり、すでに電子署名を利用する企業の多くが機能、部署、業務活用範囲の拡大を検討しているという(図1)。
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ドキュサイン・ジャパン 取締役社長の竹内賢佑氏(写真1)は、近年、電子署名のみならず契約プロセス全体を自動化するニーズが高まりを見せていることと、多くの組織で契約のライフサイクルは非常に複雑になっており、企業にとっての課題になりつつあることを指摘した(図2)。
今回、提供を開始した契約管理システム「DocuSign CLM」はそうしたニーズに応えるとしている。UIなどの日本語対応、導入支援・サポート体制を含めて提供する。
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契約プロセスにおける5つの作業を容易に
DocuSign CLMは、契約プロセスにおける5つの作業(作成、交渉、署名・捺印、保管、検索・分析・更新)を簡易にする(画面1)。同社ソリューションコンサルティング CLM事業部長の蛯子晃仁氏(写真2)は、「契約サイクルの過程で生じがちだった課題の解決に注力した」として、主な機能を挙げた。
●契約文書の作成支援:ワンクリックで法務部などの関係部署からの承認と顧客情報が契約書に自動入力される。
●契約状況の可視化:契約書の修正や版管理において、いつ、だれが、何を行ったのかを記録し状況を可視化する。
●既存システムとの連携:Salesforceなど既存のシステムと連携し、データの更新を反映する。
●ワークフロー:事前に設定した契約書の回覧順/分岐ルールに基づきワークフローを実行する。GUIによる条件設定、テンプレートの利用が可能。
●監査証跡・レポート・リスク検出:契約プロセスを厳格に追跡する監査証跡・レポート機能およびリスク検出機能を備える。
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●Next:契約業務の効率化をはたした先行ユーザーの成果
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