自動車用大型プレス機械メーカーのエイチアンドエフ（H&F、本社：福井県あわら市）は、IoTを活用した遠隔保守/監視システムを稼働開始した。顧客先に設置したプレス機械の制御データをIoT機器で収集し、診断レポートを顧客に提供する仕組み。プレス機械にトラブルが発生した際に遠隔保守を行う。システム構築を支援したインテックが2023年12月11日に発表した。
自動車用大型プレス機械メーカーのエイチアンドエフ（H&F）は、IoTを活用した遠隔保守/監視システムを稼働開始した。顧客先に設置したプレス機械の制御データをIoT機器で収集し、診断レポートを顧客に提供する仕組み。プレス機械にトラブルが発生した際に遠隔保守を行う（図1）。
図1：自動車用大型プレス機械メーカーのエイチアンドエフが稼働させた、IoTを活用した遠隔保守/監視システムの概要（出典：インテック）拡大画像表示
H&Fによると、自動車用大型プレス機械の耐用年数は30～50年と長く、故障による製造ロス機会を減らすために納品後のアフターケアが欠かせないという。「工場内にはプレス機械専任の保全担当者がいるが、高齢化による熟練技能の継承や業務負荷の増大が課題だった」（同社）。
そこで、保守・監視の業務負荷を減らすため、IoTを活用したアフターサービスの仕組みを構築した。プレス機械を設置した顧客の拠点にプレス機械の制御データを稼働記録として残してクラウドにアップロードするIoT機器を設置し。稼働記録をグラフや表で可視化した診断レポートを顧客に提供する。それを予備品の購入判断に活用して機械の不具合を事前に防ぐ。
「予備品は通常、保全担当者の見解を基に翌年度の予算に入れて購入するが、診断レポートを基に事前の購入判断ができれば、故障に備えやすい」（H&F）。同社は現在、油圧・温度などのデータからの経年劣化の検知（例：荷重の微妙な変化から金型の消耗を推計）、蓄積したデータのAI分析による予防保守の仕組みを検討している。
