[調査・レポート]

レガシーシステムから脱却できない企業が3割、脱却した企業の6割は業績が向上─オロ調査

2024年2月2日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

SaaS/SIベンダーのオロは2024年1月31日、国内企業の事務職1040人を対象にした「レガシーシステムからの脱却」に関する調査結果を発表した。レガシーシステムから脱却できていない企業が31.6%を占めた。規模別に見ると、中堅・中小企業で脱却が遅れている傾向が見られる。一方、脱却した企業の57.3%はコロナ前と比べて業績が向上したと回答している。

 オロは、国内企業の事務職1040人を対象にした「レガシーシステムからの脱却」に関する調査結果を発表した。調査は2023年11月10日・11日にオンラインで実施した。企業規模として、大企業(1001人以上)、中堅企業(301~1000人)、中小企業(300人以下)に分類している。

 バックオフィス業務において、レガシーシステムを導入しているとした回答者に、レガシーシステムから脱却できているかを聞いたところ、「脱却できていない」が31.6%を占め、「脱却した」は23.7%、残りの44.5%は「わからない」だった。3社に1社がレガシーシステムから脱却できていない(図1)。

図1:レガシーシステムからの脱却状況(出典:オロ)
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 レガシーシステムから脱却できていない企業を規模別に見ると、大企業21.7%、中堅企業28.3%、中小企業31.0%で、中堅・中小企業でレガシーシステムからの脱却が遅れている。50人以下の企業の場合、レガシーシステムから脱却できていないケースは14.6%と少ないが、55.4%は元々レガシーシステムを導入していない(図2)。

図2:企業規模別で見た、レガシーシステムからの脱却状況(出典:オロ)
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 レガシーシステムからの脱却状況と業績の相関を見ると、レガシーシステムから脱却した企業の57.3%が、コロナ前(2019年度)と比べて調査時点(2023年11月)の業績が向上していると回答した。業績が下降している企業は9.6%だった(図3)。

図3:レガシーシステムからの脱却状況と業績の関係(出典:オロ)
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 一方、レガシーシステムから脱却できていない企業では、コロナ前と比べて業績が変わっていない企業が46.8%を占め、業績が向上した企業(26.6%)と業績が下降した企業(24.5%)の差はわずかである。「レガシーシステムからの脱却が業績向上の一因になりうる」(オロ)。

 レガシーシステムから脱却できない理由の1位は「人材不足」で55.3%を占めた。以下、「費用対効果が見えないから」(33.6%)、「既存システムが属人的すぎるから」(21.4%)、「経営陣の理解不足」(19.2%)、「ツール導入後の明確なビジョンを描けていないから」(17.3%)と続く(図4)。

図4:レガシーシステムから脱却できない理由(出典:オロ)
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 図5は、回答者の業種とレガシーシステムからの脱却状況の相関を見たもの。レガシーシステムから脱却できていない割合が高い業種は上位から、「電気・ガス・水道・鉱業・エネルギー」(30.0%)、「商社」(29.5%)、「卸売業・小売業」(28.3%)、「製造業」(27.1%)、「IT・情報・通信サービス」(24.7%)の順だった。

図5:業種別で見た、レガシーシステムからの脱却状況(出典:オロ)
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