[調査・レポート]
法制対応を契機に成長を続ける請求書受領クラウドサービス市場─デロイト トーマツ ミック研
2024年2月14日(水)IT Leaders編集部
デロイト トーマツ ミック経済研究所は2024年2月13日、クラウド請求書受領サービス市場の調査結果を発表した。売上高は2022年度が156.8%増の54.6億円、2023年度は127.3%増の124.1億円と予測する。見込み顧客は従業員20人以上規模の約25万社で、2023年度の普及率は6.7%にとどまる。
デロイト トーマツ ミック経済研究所によると、クラウド請求書受領サービス市場に参入する主要企業は12社(うちベンチャー企業5社)。主要製品への調査などから、2021年度から2023年度の市場規模と2027年度までの中期予測を分析した(表1)。
表1以外の製品・サービスとしては、インフォディオ「スマートOCR 請求書」、リコー「RICOH Cloud OCR for 請求書」、エン・ジャパン「pasture 請求書受取」、マネーフォワード「マネーフォワードクラウド債務支払」、ファーストアカウンティング「Remota」がある。
企業名 | 製品・サービス名 | 提供開始年月 |
---|---|---|
sweeep | sweeep | 2018年12月 |
Deepwork | invox 受取請求書 | 2020年3月 |
Sansan | Bill One | 2020年5月 |
TOKIUM | TOKIUM インボイス | 2020年9月 |
NTTコミュニケーションズ NOCアウトソーシング&コンサルティング |
BConnection デジタルトレード | 2020年10月 |
LayerX | バクラク請求書 | 2021年1月 |
鈴与 | 請求書仕訳支援クラウド | 2021年8月 |
同市場の総売上高は、2022年度が156.8%増の54.6億円で、2023年度見込みを127.3%増の124.1億円と予測する。有料契約法人数は、2022年度が139.4%増の8100法人で、2023年度見込みは106.6%増の1万6748法人としている。
また、請求書受領サービスを利用する法人数は、約25万社が最大値で、2021年度~2027年度の普及率は図1のとおりである。「2023年度の普及率は6.7%に過ぎないが、2027年度には44.7%になる。今回は調査対象外だが、2028年度の有料契約法人数は増加率40%増として15万6500社、普及率62.6%に達する」(同社)。
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同社によると2020年度は、多くのベンダーがスタートラインに着いた年度であるという。同年の市場規模は売上高が7.3億円、有料契約法人数は1280法人という小規模な市場だった。
翌2021年度には、売上高が前年対比189.6%増の21.3億円、有料法人契約数は前年対比164.6%増の3387法人と大きく伸張。「2022年1月施行の電子帳簿保存法も追い風になった。また、AI-OCRのみの読み取り判定で電子化が可能になり、法人数の多い従業員20人以上の中小企業にも普及し始めたことが市場を拡大した」(同社)。
2022年度は、ベンダー各社とも営業人員の拡充、2023年10月開始のインボイス制度対応、会計システムとの連携、テレビ広告やネット広告などの施策を展開。これらの効果もあり、上記の売上高/有料法人契約社数を記録した。
2023年度は、売上高が127.3%増の124.1億円と、市場の立ち上がりから4年で100億円を突破する見込みという。有償法人契約社数は、106.6%増の1万6748社と1万社の突破を見積もっている。
2023年度~2027年度の売上高の中期予測は、年平均73.6%増(CAGR)で推移し、2027年度に860.8億円に達するという。「2025年度から漸次伸び率は下降していくが、2027年度も50%以上の増加で、2028年度以降も40%以上の高成長が続くと見ている」(同社)。同時期の有料契約法人数の中期予測は、年平均69.0%増(CAGR)で推移し、2027年度に11万1808法人になるとしている。