[事例ニュース]
山岳ダムの建設現場でローカル5Gと衛星通信を連接する実証実験─安藤ハザマと東京大学
2024年3月4日(月)IT Leaders編集部
安藤ハザマ(本社:東京都港区)と東京大学大学院工学系研究科は2024年3月1日、遠隔臨場や工事関係者間の円滑なコミュニケーションなどを実現する技術として、ローカル5Gシステムと低軌道衛星回線を連接する実証実験を2023年10月19日に行ったと発表した。
山岳エリアのダム建設現場においては、多くの現場で通信環境が脆弱で、通信環境の整備が困難である。建設会社の安藤ハザマと東京大学大学院工学系研究科は、遠隔臨場や工事関係者間の円滑なコミュニケーションなどを実現する技術として、ローカル5Gシステムと低軌道衛星回線を連接する実証実験を行った。
実証実験では、必要な場所に高品質な無線通信を提供するローカル5Gと、低軌道衛星通信によるインターネット通信を連接し、山岳エリアのダム建設現場に情報通信インフラを整備。工事作業関係者のコミュニケーションと、高精細カメラによる現場状況確認を検証した(図1、写真1)。
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ローカル5Gシステムと低軌道衛星通信が連接する通信インフラにおいて、電波伝搬や通信の送受信が建設現場で可能なことを、下記の測定により確認した。
- 測定器/ローカル5G端末を用いた電波伝搬状況の確認と、山岳エリアのダム建設現場におけるローカル5Gの電波伝搬ヒートマップの作成
- ローカル5Gシステム内のローカル通信、および低軌道衛星通信経由でのインターネット接続における通信帯域の測定
構築したインフラを利用して、麓に設置した現場事務所と建設現場で映像・音声双方を利用したコミュニケーションを問題なく行えること、建設現場に設置した4Kカメラの映像を現場事務所で視認できることを確認している。
なお、ローカル5Gシステムは、東京大学中尾研究室が研究開発したシステムを利用した。AC100Vとインターネットの直結で、ローカル5Gの情報通信インフラを短時間で整備できる。小型軽量(幅515×高さ415×奥行200mm)で設置スペースを取らず、約90Wの消費電力でバッテリー駆動も可能である(写真2)。
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