[調査・レポート]
新たなテクノロジー導入の成否は、組織・個人のリテラシー/スキル次第─ガートナー
2024年4月9日(火)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
ガートナージャパンは2024年4月3日、テクノロジー人材の将来に関する展望を発表した。同社は、新たなテクノロジーを駆使してビジネスを革新していくためには、あらゆる人材がテクノロジーについて自ら学習し、リテラシーやスキルを高めていく必要があると強調している。
テクノロジー人材は2030年までにクリエーター集団となり、デジタルによる産業革命をリードする──。ガートナージャパンによれば、ここ10年のテクノロジーの飛躍的な進化を受けて、テクノロジーを扱う人材に求められるスキルや役割が、歴史的な転換点を迎えているという。同社は、高いリテラシーを有し、テクノロジーを活用してビジネスそのものを革新する人材を、すべての企業が確保/育成していく必要があると見ている。
同社はテクノロジー人材の重要性について、新しいテクノロジーの導入にあたり、それを使えるかどうかを評価するために実施されるPoC(Proof of Concept:概念実証)を例に挙げて説明している。
ユーザー企業の場合、PoCを企画するメンバーは概してテクノロジーに明るくなく、ベンダーに丸投げしているケースが少なくない。そのような企業では、新しいテクノロジーを自ら活用しようという意識に欠ける場合が多い。たとえPoCを続けても、適切な評価を下すことはおろか、自社のビジネスへの効果を見いだせず、結局、導入に至らないという状況が今後も続くことになる。
PoCの成否を分けるのは導入するテクノロジーそのものではなく、人や組織の能力であることが多いというのがガートナーの見解だ。同社 ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀忠明氏は、「人や組織のテクノロジーへの向き合い方、スキル、マインドセット、スタイルの問題が大きい。さらにはそれを生かせるデータや環境があるかどうかが大きなポイントとなる」と説明する。
亦賀氏は、PoCをうまく機能させることのできる人材像として、CQ(Curiosity Quotient:好奇心指数)が高く、テクノロジーを自ら経験し、その勘所を押さえられるような人材が今後求められると指摘する。
「早晩、人や組織の能力に対する視点を欠いたPoCが無駄であることに気づくだろう」とガートナー。テクノロジーが使えるかどうかを評価するためのPoCから、メンバーがそのテクノロジーを経験する機会を作るためのトライアル導入へとフォーカスが移るという。トライアル導入においては、2027年までに日本企業の60%が、テクノロジーではなく人材の適性が試されていることを理解し、PoCという言葉が廃れていくと見ている。
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