富士通は2024年4月18日、Oracle Alloyを活用したクラウドサービスを2025年度から国内で提供すると発表した。米オラクルとの戦略的な協業の下で取り組む。システムとデータを国内に保管するデータ主権ニーズを満たした“ソブリンクラウド”(主権クラウド)として位置づけている。
富士通は、「Oracle Alloy」を活用したクラウドサービスを2025年度から国内で提供すると発表した。米オラクル(Oracle)との戦略的な協業の下で取り組む。システムとデータを国内に保管するデータ主権ニーズを満たした“ソブリンクラウド”(Sovereign Cloud:主権クラウド)として位置づけている。「Fujitsu Uvance」の「Hybrid IT」サービスとして、運用サービスと合わせて提供する(図1)。
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図1は、オラクルのソブリンクラウド「Oracle Sovereign Cloud」の概要である。以下の特徴を備えている。
- 場所の選択:OCIのコロケーション/ロケーションやユーザー側のデータセンターで選択したリージョンを構築する。
- アクセス制限:デプロイメントのオプションに応じて、ソブリンクラウドにアクセス可能なユーザーを特定の企業・組織(政府機関・部門、防衛規制依存組織など)に限定する。
- 業務サポート制限:ソブリンクラウドに関連する業務およびサポートをローカルスタッフに制限できる。これは、政府主導のセキュリティクリアランス、市民権・居住に関する追加要件の対象となる場合がある。
- 規制要件:ユーザー固有のコンプライアンス/規制、セキュリティ基準を満たすために必要な管理の仕組みを提供し、独自のコンプライアンス認定を可能にする。
- 専用ネットワーク接続:ほとんどのソブリンクラウドではパブリックなインターネットへの接続が必要となる。ただし、空輸リージョンでは、一部の政府顧客に対してインターネットからの完全な分離が求められ、専用ネットワークでその対応を可能にする。
Oracle Alloyは、クラウド事業者向けのカスタマイズ可能なIaaS提供基盤である。サービス事業者やIT/SIベンダーなどが、自社の顧客に対し、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)を自社のクラウドサービスであるかのような提供を可能にする。富士通は、Oracle Alloyを活用して、システムとデータを国内に保管しつつ、OCIと同様のクラウドサービスを提供できるようにする(図2、関連記事:NRI、Oracle AlloyによるIaaSを提供開始、金融向けに“NRIマルチクラウド”の選択肢を拡充)。
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ユーザーの計画に合わせて、クラウド環境のアップデートやパッチ適用のスケジュールを調整する。クラウド環境の自動アップデートやパッチ適用を要因とするシステムの不具合を抑止して、オンプレミス環境と同等の運用性を確保する。大規模なデータベースシステムを運用するミッションクリティカルシステムのユーザーのクラウドの活用を支援する。
Fujitsu UvanceのHybrid ITサービスとしての運用支援では、コンサルティングやマネージドサービス「Fujitsu Cloud Managed Service」を提供する。オンプレミスからハイパースケーラーのマルチクラウド環境にわたって、ユーザーのニーズに応じたサポートを提供し、運用・セキュリティポリシーを一元化するとしている。