SBI生命保険は、クラウドRDBMS「Amazon Aurora」で構築したデータウェアハウスにおけるデータの安全性向上やデータ活用の民主化に取り組んでいる。インサイトテクノロジーのデータ匿名化ツール「Insight Masking」を導入して、コストを抑制しながらデータの安全性を高め、社員がセルフサービスでデータを利用可能な環境を広げている。インサイトテクノロジーが2024年5月16日に発表した。
SBI生命保険は、顧客の声に迅速に対応すべく、顧客情報を蓄積して分析などを行う仕組みとして、データウェアハウス(DWH)を構築・運用している。Amazon Web Services(AWS)上で動作するクラウドRDBMSの「Amazon Aurora」によって構築したものである。
同社は、顧客データの漏洩などを防ぐ、データ安全化の手段として、データに含まれる個人情報や機微情報をマスキング(匿名化)するアプローチをとる。当初は、AWSのETL(抽出、変換、登録)サービス「AWS Glue」を用いてそれを実現していたが、設定に手間がかかるうえ処理量も多く、コストがかさんでいたという。
今回、Glueに代えて、インサイトテクノロジーのデータ匿名化ツール「Insight Masking」(旧製品名:Insight Data Masking)を導入した。その結果、ツールの維持費用が90%程度を削減。本番データからテストデータを作成する移行テスト作業の工数が減ったという。コストを抑制しながらデータの安全性を高め、社員がセルフサービスでデータを利用可能な環境を広げている。
Insight Maskingは、各種のマスキングアルゴリズムで、データに含まれる個人情報などの機密情報を自動で抽出し、匿名化・秘匿化する(関連記事:インサイトテクノロジー、データ匿名化ツール「Insight Data Masking」のSaaS版を発表)。
個人情報を検出する仕組みには、統計的手法やルールベースの解析技術と合わせて、AIによる文書データ解析エンジンを用いている。メール本文、チャットのテキスト、CRM(顧客関係管理)の対応履歴・メモ欄といったテキストデータに含まれる個人情報(氏名、住所、電話番号、会社名など)や機微情報を自動で検出する(図1)。
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