テレビ制作プロダクションの共同テレビジョン(本社:東京都中央区)は2024年5月31日、NECと共同で、同年5月5日に行われたラグビーの試合において、免許制による電波干渉の影響が少ない自営無線ネットワークをローカル5Gで構築し、無線映像伝送の実現性を検証した。
フジ・メディア・ホールディングス子会社でテレビ制作プロダクションの共同テレビジョンは、NECと共同で、免許制による電波干渉の影響が少ない自営無線ネットワークをローカル5Gで構築し、無線映像伝送の実現性を検証した。2024年5月5日に行われたラグビーの試合において、ワイヤレスカメラによる生中継を検証している(写真1)。
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同社によると、中継イベントにおいて無線伝送を行う場合、テスト時に問題がなくても、本番時には多数の観衆が集まることから、Wi-Fi同士の電波干渉や公衆回線の混雑により、通信速度の低下や遅延が発生し、通信品質が安定しないことが多くあるという。
ラグビー中継の場合、約100mのタッチライン脇からの映像が求められ、カメラケーブルの設営や本番中のケーブルさばきなど、効率的な運用や安全面の配慮も必要なことから、安定した映像伝送が可能な中継カメラのワイヤレス運用が求められていたという。
そこで今回、免許制による電波干渉の影響が少ない自営無線ネットワークを、低遅延、大容量、同期・準同期による上り・下りの比率が可変などの特徴を持つローカル5Gで構築し、安定した無線映像伝送の実現性を検証した。
競技場に、NECの「ローカル5Gパック」を設置して、ローカル5Gネットワークエリアを構築。ローカル5Gの低遅延かつ大容量通信の特徴を生かし、選手の入場時や試合中の映像をリアルタイムで伝送した(図1)。
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ワイヤレスカメラはケーブルを引き回さないため、選手・審判などの動線への支障が軽減。制作チームからは、「競技場内をスムーズに移動、撮影することができ、臨機応変に新しいカメラアングルを作るなど臨場感ある映像を撮影できた」と好評を得たという。
共同テレビは今後、今回の取り組みで得た知見を、ワイヤレスカメラの活用など番組制作/映像演出に生かしていく。また、スポーツ以外にも、コンサートやイベントなどにおいても、ローカル5Gを用いた映像伝送の実証に取り組むとしている。