[調査・レポート]

成長続く国内ERPパッケージ市場、インボイス制度/改正電帳法対応などが追い風に─矢野経済研究所

2024年にはクラウドERPが市場の6割超を占めると予測

2024年10月21日(月)IT Leaders編集部

矢野経済研究所は2024年10月18日、国内のERPパッケージライセンス市場に関する調査結果を発表した。企業のIT投資意欲が高くインボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応などが追い風となり、2022年の市場規模は前年比9.5%増の1296億2000万円。2023年も同様の傾向から、前年比9.5%増の1419億8000万円と成長が続いている。

 矢野経済研究所は、国内のERPアプリケーションパッケージライセンス市場に関する調査結果を発表した。

 大企業を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが戦略フェーズから実践フェーズに移り始めるなど企業のIT投資意欲が高く、また、中堅以下の企業を中心にインボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応が追い風となり、2022年の市場規模(エンドユーザー渡し価格ベース)は前年比9.5%増の1296億2000万円となった。2023年も同様の傾向から、前年比9.5%増の1419億8000万円と成長が続いている(図1)。

図1:ERPパッケージライセンス市場における規模の推移と予測(出典:矢野経済研究所)
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 矢野経済研究所は、ERPパッケージライセンス市場の主な成長要因として以下の5点を挙げる。

  • ビジネス環境の変化や好調な企業収益などから、DXの取り組みが戦略フェーズから実践フェーズに移行
  • IT投資への意欲が高まり、レガシーシステムのリプレースや、DXの一環としての経営基盤への投資といった以前からのニーズの継続
  • 中堅以下企業を中心に、インボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応への需要の急拡大
  • 大手企業を中心に、これまで自社開発(オンプレミス)が中心だった生産管理システムなどについて、パッケージなどに切り替えるITプロジェクトが進展
  • ERPの複数モジュール採用によるプロジェクトの大型化が進み、クラウドERPを利用する企業も増加傾向

 矢野経済研究所は、ERPパッケージ市場の将来予測として、2024年は前年比8.2%増の1536億6000万円を見積もる。「インボイス制度に代わるほどの大きな事象こそ見受けられないものの、レガシーシステムのリプレース、DXを契機とする案件は増加基調にある」と同社は指摘する。また、オンラインだけでなくリアルでも販促活動を行えるようになったことの効果も期待できる。これらのことから市場は引き続き順調に成長すると見ている。

 「今後の世界情勢や海外景気の影響などにより、市場の成長を鈍化させる要因はあるものの、国内においてはクラウド化の進展やデジタルインボイスの導入、またカーボンニュートラル(脱炭素化)の実現に向けてCO2排出量の算出にERPは有用であるなど、市場には成長要因も多く、拡大基調が続く」(同社)

●Next:クラウドERPが進展する理由

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