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[市場動向]

NTTファシリティーズ、生成AIの普及を見据えてデータセンター冷却システムの検証施設を構築へ

2025年4月の完成予定でNTT武蔵野研究開発センタ内に構築

2024年10月24日(木)IT Leaders編集部

NTTファシリティーズは2024年10月23日、生成AIの今後の普及を見据えて、そのシステム稼働基盤を支えるデータセンターの冷却システム検証施設「Products Engineering Hub for Data Center Cooling(仮称)」をNTT武蔵野研究開発センタ内に構築すると発表した。完成は2025年4月を予定している。生成AI向けデータセンターで主流となる液冷サーバーの冷却システムをはじめ、各種の空調機器を検証・展示する。

 NTTファシリティーズは、生成AIの今後の普及を見据えて、そのシステム稼働基盤を支えるデータセンターの冷却システム検証施設「Products Engineering Hub for Data Center Cooling(仮称)」を、NTT武蔵野研究開発センタ(東京都武蔵野市)内に構築する。2025年4月の完成を予定している(図1)。

図1:空調設備の検証施設「Products Engineering Hub for Data Center Cooling(仮称)」のエリア構造(出典:NTTファシリティーズ)
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 検証施設では、NTTファシリティーズが扱う10種類の空調機器の実機を設置するほか、AIデータセンターを想定した模擬負荷装置(空冷分420kW、液冷分216kW)を設置する。これらの空調機器を実際に運転可能な環境を構築する。

 「現在のデータセンターの冷却システムは、排熱空気の水冷が主流で、空調設備の消費電力が大きい。生成AIの利用が広がる中、高発熱のGPUサーバーを効率よく冷却する仕組みとして、冷却液をサーバーに直接送り込んでコールドプレートで冷却する液冷方式の導入が進んでいく」(NTTファシリティーズ)

 液冷方式サーバーの冷却システムは、サーバーに冷却液を送り込むCDU(Coolant Distribution Unit:冷却水循環装置)と、CDUへ冷却液を供給する熱源機器で構成する。空気を介さずに冷却液を直接送り込む方式のため、液体温度を高く設定できる。チラー(一定温度に水を冷却する機構)を用いずとも消費電力を低減可能である。

 新たに構築する冷却システムの検証施設は、(1)データホールエリア、(2)空調機設置エリア、(3)熱源機器設置エリアで構成する。

(1)データホールエリア
 サーバラックを設置するエリア。CDUから冷却液を供給する液冷サーバーを模した模擬負荷装置の冷却(液冷方式)に加え、各種の気流方式による冷却(空冷方式)に対応する。エリア内には、小規模な生成AI用基板向けにパッケージ化された「スキッド型CDU」(写真1注1)や、高発熱のGPUを搭載したサーバーを冷却する「リアドア型空調機」を設置する。

写真1:独STULZ社製スキッド型CDUの外観(出典:NTTファシリティーズ)
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注1:スキッド型CDUは、液冷サーバーの冷却に必要なCDUやリアドア型空調機といった設備機器、冷水配管やマニフォールドなどのコンポーネントをパッケージ化することで、現地組み立て作業を最小限に抑えた液冷サーバー用の冷却水循環装置。

(2)空調機設置エリア
 パートナー企業の独STULZ製「水冷下吹型空調機」「水冷壁吹型空調機」「水冷横吹型空調機」、直接外気冷房を併用可能な「外気冷房併用型空調機」を設置する。また、現在STULZと開発中の日本市場向けCDUも設置する計画である。エリア内には、データセンター構築・保守技術者の育成やデータセンター事業者との共創の場として、ラーニングエリアを設置する予定である(図2)。

図2:ラーニングエリアのイメージ(出典:NTTファシリティーズ)
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(3)熱源機器設置エリア
 パートナー企業のカナダSMARDTが提供するオイルフリー空冷チラー「AFシリーズ」(2025年以降に国内販売開始予定)に加え、CDUと共にチラーレス液冷空調用の中核製品と目される米Evapco製ハイブリッドドライクーラー「eco-ATWB-H」を設置する予定である(写真2)。

写真2:米Evapco製ハイブリッドドライクーラーの外観(出典:NTTファシリティーズ)
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