森永乳業(本社:東京都港区)は、食品原材料の価格変動シミュレーションシステムを富士通と共同開発し、2024年8月5日から運用している。環境変化や社会情勢などに起因する原材料の価格変動や為替変動が事業損益や経営に与える影響について各種の状況をシミュレーションし、経営の意思決定に活用する。富士通が同年10月30日に発表した。
食品製造業界は、気候変動や自然災害、グローバルでの需給や為替変動による原材料価格の高騰などの影響を強く受けている。森永乳業は、こうした変化に適応する経営基盤強化の一環で、食品原材料の価格変動シミュレーションシステムを富士通と共同開発した(図1)。
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森永乳業はこれまで、国内23工場で取り扱う数百以上にのぼる取引先情報および製品情報を複数組織にまたがって人手で収集・集計していた。
開発したシミュレーションシステムは、こうした作業を効率化して原材料の価格変動の経営に対する影響を早期に可視化する。約2カ月の試験運用期間に作業効率改善や業務標準化の効果を確認し、2024年8月5日から運用している。
システムの基盤は、富士通のサプライチェーン計画アプリケーションパッケージ「Fujitsu Manufacturing Supply Chain Planning」で、Anaplan Japanの計画・分析ツール「Anaplan」と富士通の製造スケジューラソフトウェアおよびテンプレートなどを組み合わせている。原材料価格の変動による損益への影響把握および分析の時間を減らし、変化への対応力を高めるとしている。
森永乳業は今後、富士通の協力の下、シミュレーションシステムにおいて、原材料価格変動のみならず、サプライチェーン全体の意思決定の迅速化を推し進めていく。