米アカマイ・テクノロジーズは2024年11月12日、同社のクラウドサービスを強化する複数の新サービスを発表した。コンテナ運用環境を迅速に構築するためのKubernetes関連ソフトウェア「Akamai App Platform」、フィンランドAivenのSaaS型マネージドデータベース、オブジェクトストレージの性能向上、グラフィックス用途の新しいGPUインスタンスなどを提供する。
米アカマイ・テクノロジーズ(Akamai Technologies)は近年、サーバーやコンテナなどの稼働基盤であるIaaS領域に注力している。データベースサーバーなどに向くフルスペックのコアリージョン(国内は東京と大阪の2カ所)のほかに、ユーザーに近い場所でWebアプリケーションなどのコンテナを低遅延で動かせる分散リージョンを運用している(関連記事:アカマイの主軸事業はCDNからWAFなどのセキュリティに、今後はIaaSへ)。
今回、同社のクラウドサービスを強化する以下の新サービスを発表した。
(1)コンテナ運用環境を迅速に構築するためのKubernetes関連ソフトウェア「Akamai App Platform」
(2)SaaSマネージドデータベースの拡充
(3)オブジェクトストレージの性能向上
(4)グラフィックス用途の新しいGPUインスタンス、など
(1)Akamai Application Platform
Kubernetesを簡単に扱えるようにするソフトウェアツール群である。2024年にオランダRed Kubesから買収した「Otomi」をベースにしている。Configuration as Codeに基づいており、Kubernetesクラスタの状態をコードとして指定・更新可能である。事前構成済みのシステムテンプレートを用意している(図1)。
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2024年11月から提供している。アプリケーションの配備先として、まずはAkamaiのコアリージョンが使える。今後、分散リージョンにも配備できるようにする。他社のクラウド環境については未定である。
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米Akamai Technologies クラウド担当 プロダクトマネジメント バイスプレジデントのショーン・マイケルズ(Shawn Michaels)氏(写真1)は次のように説明した。
「Kubernetes環境を自前で整備すると、各種ミドルウェアやファイアウォールなどの知識が必要になり、アプリケーションを実行可能になるまで数週間から数カ月かかる。一方、クラウドベンダーが用意する環境を使うと、独自技術でロックインされてしまい、クラウド移行の妨げになる。Akamai Application Platformを使えば、数日で環境を構築可能だ」。
(2)SaaSマネージドデータベースの拡充
新たに、フィンランドAivenのDBaaS(Database as a Service)を利用できるようにした。RDBMSはPostgreSQLとMySQLから選択可能である。今後、インメモリーデータベースのRedisも使えるようにする。2024年11月から提供する(図2、関連記事:データ処理マネージドクラウドのAiven、ClickHouseやKafka運用ツールなどの提供計画を発表)。
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(3)オブジェクトストレージの性能向上
オブジェクトストレージの次世代版「OBJ Gen2」を提供する。性能と容量を高めた。リクエストの処理性能は、バケットごとに1秒につき2万リクエスト(従来は5000リクエスト)である。バケットあたりの容量は5PB(従来は1PB)である。バケットあたりのオブジェクト数は100億(従来は10億)である。ストレージを大容量化したのは、「映像などを扱うメディア事業の需要に応えるため」(マイケルズ氏)という(図3)。
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(4)グラフィックス用途の新しいGPUインスタンス
グラフィックス処理用の新しいGPUインスタンスを提供する。GPUに米NVIDIAのRTX 4000 Ada世代を採用。メディア事業やゲームなど、映像やグラフィックスの処理を主な用途としている。