[事例ニュース]
横浜市水道局、配水ポンプ場の巡視点検にドローンとIoTセンサーを利用する実証試験
2024年11月20日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
横浜市は2024年11月19日、市内の配水ポンプ場の巡視点検にドローンとIoTセンサーを利用する実証試験の取り組みを発表した。仏向(ぶっこう)ポンプ場(同市保土ヶ谷区)において、ドローン撮影映像を執務室から確認する実証試験に成功。今後、IoTセンサーで取得した振動データからポンプの劣化兆候判断の検証を2025年3月まで実施する。有効性を確認後、市内23箇所の配水ポンプ場に順次導入する。
横浜市の水道局浄水課は、現在、市内23箇所にある配水ポンプ場の巡視点検を1カ月に1回実施し、ポンプ設備に異常がないかを職員が判断している。同課では、ノウハウを持つベテラン職員の退職が控えており、従来の維持管理手法の継続は困難になることを想定している。
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現在、ポンプ設備の新たな維持管理手法として、ドローンとIoTセンサーを組み合わせた遠隔巡視の実証試験を仏向ポンプ場(同市保土ヶ谷区)で実施している(写真1)。対象のポンプは5台で、主な給水エリアは保土ヶ谷区と旭区の一部。実証試験を2025年3月まで実施する予定で、有効性を確認した場合、市内23箇所の配水ポンプ場に順次導入する。
横浜市水道局の取り組みは、ドローンとIoTセンサーの2つの実証試験で構成する。1つは、ドローンがポンプ場内を自動飛行によって巡回し、狭所での飛行可否や、撮影映像を執務室から確認できるかを検証する試験。撮影画像から漏水・漏油の有無などを判断する。この試験はすでに成功しており、巡視点検に利用できることを確認済みである(動画1)。
動画1:ドローンポート「Skydio Dock」を活用した配水ポンプ場の自動巡回の様子(出典:横浜市水道局、NTTコミュニケーションズ)
ドローンシステムは、米Skydioの屋内用ドローンポート「Skydio Dock」、PicoCELAのメッシュ型無線LANアクセスポイント「PicoCELA」を複数台組み合わせた無線LAN環境と、NTTドコモ/NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が国内販売する衛星インターネットサービス「Starlink Business」などを組み合わせ、NTT Comが構築した。Starlinkは自動巡回のバックホールに活用している。
もう1つは、ポンプと電動機にIoTセンサーを取り付け、定期的に自動計測した振動データや温度を執務室から確認すると共に、振動データからのポンプ劣化兆候判断の可能/不可能を検証する試験である。これから試験を開始し、2025年3月まで実施する。