[事例ニュース]
化学メーカーのデンカ、キャリアの電波が届きにくい工場にローカル5Gを全面導入へ
2024年12月12日(木)IT Leaders編集部
総合化学メーカーのデンカ(本社:東京都中央区)は、2026年3月末を目途に、同社の大牟田工場全体をカバーするローカル5G環境を構築する。大牟田工場の一部に導入した後、2025年1月からエリア品質評価・試験運用を実施する。将来的には製造設備から得るプロセスデータを収集・活用して工場のデジタルツインを構築する。取り組みを支援する三井情報(MKI)が2024年12月11日に発表した。
デンカは、1915(大正4)年に電気化学工業として設立以来、109年の歴史を持つ総合化学メーカーである。無機・有機化学品から電子材料、医薬に至る幅広い分野で事業をグローバルに展開している。
同社はデジタル技術やロボット技術の活用による労働生産性向上の一環で、2026年3月末を目途に大牟田工場(福岡県大牟田市、写真1)全体にローカル5G環境を構築する。大牟田工場の一部に導入した後、2025年1月からエリア品質評価・試験運用を実施する。将来的には製造設備から得るプロセスデータを収集・活用することで、工場のデジタルツインを構築する計画である。
写真1:デンカ大牟田工場の外観。創業の翌年である1916年10月に同社初の新設工場として操業を開始した(出典:デンカ)拡大画像表示
沿岸部に位置し、広大な敷地をもつ大牟田工場は、キャリア通信網の電波が届きにくく、これまで無線通信の利用が進まなかった。また、建屋の建て替えが実施されるたびに工事を要する有線インフラの敷設コストが課題となっていたという。
大牟田工場全体をカバーするローカル5Gの導入により、工場内の無線通信環境が整備され、ハンディターミナルをはじめとするモバイル端末の活用や目視検針業務の効率化など、労働生産性の向上を目指す。
ローカル5Gシステムの設計・構築・導入を三井情報(MKI)が2024年10月から担当している。2025年1月から実施するエリア品質評価では、建屋が多く基地局アンテナからの見通しのきかない屋外のエリアカバー状況や障害物となりやすい製造設備が配置された屋内への浸透評価を行い、工場全体へのローカル5G導入に向けた準備を行う。
大牟田工場では、ハンディターミナルを用いた試験運用をはじめ、スマート工場化に寄与する形でローカル5Gを活用し、将来的な工場内のデータ活用基盤の構築およびデジタルツインの実現につなげていく。
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