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トランザクションマネージャ新版「ScalarDB 3.15」、レコード単位のアクセス制御とベクトルストアに対応
2025年2月20日(木)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
Scalarは2024年2月20日、トランザクションマネージャ新版「ScalarDB 3.15」をリリースしたと発表した。複数の異なるデータベースやマイクロサービスにまたがるトランザクションを制御するミドルウェアで、新版ではアクセス制御をレコード単位で行えるようにしたほか、管理対象データベースにベクトルストアを追加している。
Scalarの「ScalarDB」は、複数の異なるデータベースやマイクロサービスに対して分散ACIDトランザクション機能によってトランザクションを制御するトランザクションマネージャである。
リレーショナルデータベース(RDBMS)だけでなく、ACID(原子性/不可分性・一貫性・分離性・永続性)特性に準拠していないNoSQLなどにおいてもACIDトランザクションを実現する。そまた、「ScalarDB Cluster」による高可用性(HA)構成に対応する(図1、関連記事:複数のマイクロサービスにまたがるトランザクション制御を容易にする「ScalarDB Cluster」)。
アプリケーションは、ScalarDBが提供するJDBCなどのAPIを通じてデータベースにアクセスする。これにより、基盤となるデータベースの種類を意識することなく統一的な方法でデータ操作やトランザクション管理を行える。将来、データベースを変更する場合もアプリケーション側の修正を最小限に抑えられるメリットがある。

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新版の3.15では、各ユーザーの属性や役割に応じたアクセス制御を、テーブル単位だけでなく、より細かいレコード単位で行えるようにした。複数の組織やアプリケーションが同じテーブルを共有しながら、それぞれがアクセス可能なデータ範囲を細かく制限・分離できる。金融など厳格なセキュリティが求められる業種を含めた広範なユースケースで利用できるとしている。
新版ではまた、管理対象データベースにベクトルデータベースを追加した。ベクトルデータの追加や検索を、ScalarDBのベクトルインタフェースを通じて行える。これにより、ベクトルデータベースにデータを格納する生成AI/RAG(検索拡張生成)システムにもScalarDBを適用できるようになった。表1に示したベクトルデータベースと埋め込みモデルを管理可能である。
ほかには、データ型として日付型/時刻型(DATE、TIME、TIMESTAMP、TIMESTAMPTZ型)を追加し、それを用いるアプリケーションの構築が容易になった。さらに、日付型/時刻型を用いる既存のアプリケーションからScalarDBアプケーションへの移行が容易になった。
ベクトルデータベース |
OpenSearch |
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埋め込みモデル |
Amazon Bedrock |