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トランザクションマネージャ新版「ScalarDB 3.8」、複数のマイクロサービスにまたがったトランザクション制御が容易に

2023年1月17日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

Scalarは2023年1月17日、トランザクションマネージャ新版「ScalarDB 3.8」をリリースしたと発表した。ScalarDBは、複数の異なるデータベースやマイクロサービスにまたがったトランザクションを実現するミドルウェアである。新版では、複数のマイクロサービスにまたがったトランザクション制御を容易にする新機能「ScalarDB Cluster」を追加した。

 データベース関連ソフトウェアベンダーのScalarが開発・提供する「ScalarDB」は、複数の異なるデータベースやマイクロサービスにまたがったトランザクションを制御可能なミドルウェアである。

 リレーショナルデータベース(RDBMS)だけでなく、トランザクション処理の原則であるACID(不可分性・一貫性・独立性・永続性)に準拠していないNoSQLなどのデータベースにおいてもACIDを実現する。今回の新版では、複数のマイクロサービスにまたがったトランザクション制御を容易にする新機能「ScalarDB Cluster」を追加した(図1)。

図1:トランザクションマネージャ「ScalarDB」の新機能「ScalarDB Cluster機構」の概要。複数のマイクロサービスにまたがったトランザクションの制御が容易になった(出典:Scalar)
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 Scalarによると、ScalarDBの従来バージョンでは、1つのトランザクション内においてマイクロサービス間で複数のインタラクションを行う場合、マイクロサービス側でトランザクションの送信先の管理を行う必要があり、アプリケーション開発者の負担が大きいという課題があった。具体的な説明を次のようにしている。

 「アプリケーション側でトランザクションの状態の一部を保持する必要から、1つのトランザクション内において、アプリケーションを構成する各マイクロサービスのサーバー(プロセス)は常に他のサービスの同一のサーバーと通信する必要がある。例えば、サーバー間で双方向ストリーミング等の双方向通信を行うか、または、スティッキーセッション(特定のセッションを同一のサーバーで処理し続けさせる機構)を用いるなどの仕組みが必要だった」

 バージョン3.8の新機能である「ScalarDB Cluster」は、この課題を解消する。ルーティング機構を備えたことで、マイクロサービスにおいてトランザクションの送信先を管理する必要がなくなった。「各サービスはどのサーバーと通信しても正しく機能する。ScalarDBを用いたマイクロサービスのトランザクション管理がさらに容易になった」(同社)としている。

 新版では加えて、Javaアプリケーション開発部品Spring Frameworkのデータベース接続機構であるSpring Data JDBCを利用して、ScalarDBアプリケーションを開発できるようにした。

 今後は、ScalarDBデータ上での分析クエリー機構や、トランザクションプロトコルの改良による性能向上、既存データベース上でScalarDBが動作するための抽象化機構、さらに広範なデータソースに対するアダプターなどを開発する予定としている。

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Scalar / ScalarDB / マイクロサービス / ACID / Spring Framework / JDBC / Java

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