[新製品・サービス]
はてな、サーバー監視サービス「Mackerel」にAPM機能を追加
2025年4月1日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
はてなは2025年4月1日、サーバー監視クラウドサービス「Mackerel」にAPM(アプリケーション性能監視)機能のベータ版を追加した。正式リリースは同年5月1日を予定している。サービスごとのパフォーマンスを確認しながらオブザーバビリティ(可観測性)のあるアプリケーション性能監視を可能にする。伴って、APM向けの課金体系を新設、既存のスタンダードホスト、マイクロホスト、メトリックに加え、トレースを構成する処理単位であるスパンの数に応じた課金が加わる。
はてなの「Mackerel(マカレル)」は、SaaSで提供するサーバー監視クラウドサービスである。専用のエージェントをインストールしたサーバー(Windows、Linux)を監視する。サーバーを仲介してネットワーク機器をSNMPで監視することもできる(関連記事:はてな、サーバー監視サービス「Mackerel」の機能を強化、サーバー退役後もカスタムメトリックを参照可能に)。
監視ルールは自由に設定可能である。CPUやメモリーの使用率、ロードアベレージといった標準的なメトリックに加え、JVMやAWS RDS、ELBの状況などカスタマイズしたメトリックの監視にも対応する。監視対象は、サーバー機群を「データベースサーバー」などのサービス用途/役割(ロール)別にまとめて指定できる。

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今回、新機能としてAPM(アプリケーション性能監視)機能のベータ版を追加した。正式リリースは2025年5月1日を予定している。OSSのOpenTelemetryを基盤としたオブザーバビリティの対応強化を進めるMackerelでは、インフラを中心とした既存のシステム監視機能に加えて、システムのトランザクション単位での追跡やHTTPリクエストやデータベースアクセスのボトルネック特定など、オブザーバビリティ(可観測性)のあるアプリケーション性能監視が可能になる(画面1)。
APMサービス一覧を起点に、アプリケーションの健全性やパフォーマンスを確認する際に有用なREDメトリック(レスポンス数、エラー数、レイテンシ)、トレース、HTTPサーバー、データベースのパフォーマンスなどを確認できる。既存のトレーシング機能と組み合わせることで、日々の性能改善や障害原因の特定が容易になるとしている。
APM機能の画面に表示するデータ(サマリーや一覧)は、トレース中のHTTPリクエストやデータベースへのクエリーに関するスパンを集計表示したもの。スパンは、トレースを構成する個々の処理単位で、特定の関数呼び出しやデータベースクエリー、外部APIへのリクエストなどが該当する。
APMの各機能はトレースを構成するスパンの上に成り立っていることから、今回、処理するスパン数による課金体系を追加している。APM機能の料金(税別)は月間500万スパンまで無料で、以降100万スパンごとに300円。
HTTPサーバーやDBサーバーの一覧画面を提供
サマリー画面では、サービスのREDメトリック(レスポンス数、エラー数、レイテンシ)を確認可能である(画面2)。「レスポンスにかかった時間の平均」のグラフではユーザー体験やシステムの性能、「エラー率」のグラフでは障害や異常の発生状況、「リクエスト数」のグラフではアプリケーションへのトラフィックや負荷の傾向について把握できる。

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「トレース」「HTTPサーバー」「データベース」の各ページからは、サービスにひもづく各項目の一覧を確認できる。「サマリー」タブで傾向を把握した後、性能劣化や障害発生の原因を探索するといった使い方ができる。
「トレース」では、レイテンシの分布をヒストグラムで表示して性能の状況を把握したり、トレースを環境やスパン名で絞り込んだり、レイテンシ順にソートしたりできる(画面3)。

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「HTTPサーバー」のページは、Webアプリケーションのエンドポイントごとの成績表である。レスポンスタイムの合計や平均値、95パーセンタイル、エラー率やアクセス数を一覧で確認可能である(画面4)。レスポンスタイムやエラー率のデータから、ユーザー体験を損なっているエンドポイントがどこかを確認し、このうえでリクエストのトレースへと直接遷移可能である。

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「データベース」のページでは、データベースへのクエリーについて、合計の実行時間、平均実行時間、実行回数を一覧できる(画面5)。性能悪化の原因となっているクエリーを特定でき、こちらも直接トレースに遷移可能である。

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